国民年金保険料の所得控除。2年前納した場合の控除年度は?

ポイント:2年前納した国民年金保険料は、各年で分割控除するのが原則だが、前納した年に一括控除することも認められている。


こんにちは。税理士の関田です。

主に自営業者などが毎月納める国民年金保険料ですが、最大で2年分を先払いすることができます(2年前納)。

毎月納付に比べ、2年間で15,000円以上の割引を受けられるため、資金繰りに余裕のある方は一考の余地があるでしょう。

さて、支払った国民年金保険料はその全額が所得控除(社会保険料控除)の対象となりますが、2年前納を行った場合はいつの年度の所得から控除されるのでしょうか?

社会保険料控除の原則

年末調整や確定申告で社会保険料控除の対象となるのは、原則として「その年に実際に支払った金額」となります。

したがって、納付期日が到来していたとしても年内に支払っていなければその年は控除できませんし、前年に納付期日が到来していたものでも本年に支払っていれば本年に控除できます。

前納した社会保険料の取扱い

前納した社会保険料は、以下のとおりその総額を各年に分割し、それぞれの年に支払ったものとして控除するのが原則です。

①分割控除方式(原則)

前納した社会保険料の総額 × その年中に到来する納付期日の回数 / 納付期日の総回数

ただし、前納期間が1年以内または法令により一定期間の前納ができる社会保険料については、その全額を支払った年の社会保険料控除の対象とすることも認められています。

②一括控除方式(特例)

その年中に前納した社会保険料の全額

2年前納を行った国民年金保険料についても、①分割控除・②一括控除のいずれかを選択することができます。

分割控除と一括控除、どちらが有利か?

分割控除か一括控除を選択できるとなると、どちらの方法が税金上有利になるのかが気になるところでしょう。

毎年所得に大きな変動がない方であれば、分割控除を行うことで納税額を平均化するのが無難です。

一方、年によって所得の変動が大きい方の場合、所得が多い(=税率が高い)年に一括控除した方が節税になるでしょう。

なお、いったん分割控除で申告した後、一括控除を選択し直すこと(更正の請求)は認められていません。

まとめ

国民年金保険料の2年前納を行った場合は、分割控除・一括控除の両方に対応した控除証明書が送付されます。

前納した年の申告では、翌年の所得も見越したうえで控除方法を選択しましょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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