青色事業専従者とパート・法人役員の兼務。非常勤なら問題なし?

ポイント:週1~2日程度のパート勤務や非常勤役員としての職務であれば、青色事業専従者との兼業が認められる場合もある。


こんにちは。税理士の関田です。

青色申告している個人事業主で、配偶者など事業を手伝ってくれている同一生計の親族がいる場合、「青色事業専従者給与」を支給することで所得を分散し、節税を図ることができます。

ただし、その親族が本当に「専ら事業に従事」していることが必要であり、他に仕事をしている場合には基本的に専従者給与の支給はできません。

それでは、パートタイマーや法人の非常勤役員など、兼業の仕事が短時間の場合でもやはり認められないのでしょうか?

兼業の仕事が短時間であれば認められる場合も

条文上はどうなっているか?

所得税法施行令165条1項では、親族が専ら事業に従事するかどうかの判定は、事業に専ら従事する期間がその年を通じて6月を超えるかどうかによる、と規定しています。

そのうえで同条2項2号では、次に該当する者である期間は事業に専ら従事する期間に含まれないものとしています。

他に職業を有する者(その職業に従事する時間が短い者その他当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者を除く。)

条文を解釈すると…

上記の施行令の条文を解釈してするとこうなります。

  • 原則として、兼業期間については「専ら事業に従事する期間」に含まれず、兼業期間が年間で6ヵ月以上ある場合には専従者給与の支給は認められない
  • ただし、本業(専従者)の仕事を妨げない程度の短時間の兼業であれば、「専ら事業に従事する期間」に含まれる

ポイントは、専従者としての仕事を妨げない程度の仕事かどうかということです。

パートタイマーの場合

専従者としての仕事の他にパートタイマーとして勤務する場合、勤務日数や勤務時間が問題になります。

一般的には、週1~2日程度に相当するパート勤務であれば専従者としての仕事を妨げるものではないと考えられ、青色事業専従者として認められる可能性があります。

法人の役員の場合

法人の役員の場合、パートタイマーのような「労働者」とは立場が異なるため一概には言えませんが、常勤役員として職務を執行している場合には青色事業専従者としては認められないでしょう。

一方、非常勤役員の場合には、役員としての職務を行う時間・程度にもよりますが、青色事業専従者として認められる可能性があると思われます。

もっとも、非常勤役員としての役員報酬が無給ないしは月数万円程度であれば問題ありませんが、専従者給与を超えるような役員報酬を受け取っている場合には認められない可能性が高いでしょう。

まとめ

2か所から給与をもらっている場合には確定申告が必要となりますので、税務署は青色事業専従者が他にも給与収入を得ていることを容易に把握できます。

まずは「①専従者としての勤務実態がある」こと、そして「②兼業の仕事が短時間の軽微な仕事である」こと、この2つを主張できる状態にあることが重要です。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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