仮想通貨NEMの補償金は課税対象。平成30年分の確定申告が必要に

ポイント:仮想通貨の不正送金被害により支払いを受けた補償金は雑所得として課税対象に。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

今年1月、大手仮想通貨取引所のコインチェック社において、ハッキングにより約580億円相当の仮想通貨「NEM」が流出するという事件が起きました。

その後3月に同社より、流出時点でNEMを保有していた顧客に対する補償内容が公表。

今回は日本円での補償となりましたが、この補償金に対する課税関係が注目されていました。

仮想通貨で利益が出たら雑所得として課税

ビットコインをはじめとする仮想通貨の取引により生じた利益は、原則「雑所得」に区分されます。

利益が出るケースは主に、

・仮想通貨を売却した場合(ビットコイン→日本円など)

・仮想通貨同士を交換した場合(ビットコイン→イーサリアムなど)

・仮想通貨で商品を交換した場合(ビットコイン→家電など)

の3つで、売却・交換時の価格が当初取得時の価格を上回っていれば、その差額が雑所得として課税対象となります。

雑所得は総合課税(給与所得など他の所得と合算)となりますので、累進税率によって最高55%(所得税45%・住民税10%)まで課税されます。

一方、仮想通貨の取引により損失が生じた場合、雑所得は損益通算(損失を他の所得と相殺)できませんので、ほかに雑所得がなければ切り捨てとなります。

損害賠償金をもらった場合に税金はかかるのか

国税庁から今回の補償金対する課税関係が公表されるまで、NEM保有者に対する補償金は「損害賠償金」として非課税になるのではないかという見方も一部にありました。

個人が受け取る損害賠償金や保険金に対するの課税関係については、たとえば、

・心身に加えられた損害に対するもの(交通事故による治療費や慰謝料等)…非課税

・突発的な事故による資産の損害に対するもの(建物の火災による保険金等)…非課税

・収入金額に代わる性質を有するもの(商品の損害に対する保険金等)…実質的に売上のため課税

など、ケースバイケースです。

今回のNEM流出被害に対する補償金はどのケースに該当するのでしょうか。

NEM保有者への補償金は課税対象

平成30年4月16日、国税庁は「仮想通貨の不正送信被害に対する補償金は、非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税対象となる」という見解を示しました。

⇒ 国税庁HP 『仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合』

実質的に補償金相当額でNEMを売却したのと同じことだから、補償金は「収入金額に代わる性質を有するもの」であるという理屈です。

したがって、今回NEMの補償金を受け取った人は、

①補償金がNEMの取得価額を上回っている場合 → 平成30年分の確定申告が必要

②補償金がNEMの取得価額を下回っている場合 → 損失切り捨て(確定申告不要)

となります。

ただし②の場合でも、平成30年中に他の仮想通貨で利益が出ているなど、ほかに雑所得がある場合には雑所得内で損失を通算することは可能です(他の所得との損益通算は不可)。

また、普段確定申告をしていないサラリーマンなどは、雑所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要です。

仮想通貨取引に対する国税の目は今後ますます厳しくなることが予想されますので、適正な申告・納税を心がけましょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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