忘れていませんか?所得控除・その①。寡婦控除・寡夫控除

ポイント:結婚歴のあるシングルマザーの方は寡婦控除を忘れていないか要確認。


こんにちは。税理士の関田です。

確定申告終了から1月以上経過しました。

限られた時間の中で多くの案件を処理しなければいけない確定申告は、税理士でもミス・見落とし等をしがちです。

なかでも多いのが、所得控除の適用漏れです。

今回は寡婦(寡夫)控除をご紹介します。

寡婦・寡夫とは

数ある所得控除の中で、適用漏れが一番多いのが寡婦控除・寡夫控除です。

どちらも「かふ」と読みます。

寡婦とは、夫に先立たれ、または夫と離婚し、その後再婚していない女性のことです。

寡夫とは、妻に先立たれ、または妻と離婚し、その後再婚していない男性のことです。

寡婦控除とは

寡婦控除とは、所得税法上の寡婦に当てはまる人が、所得から一定金額を差し引くことで所得税を安くできる制度です。

一般の寡婦の場合

次のいずれかに当てはまる人は、所得から『27万円』を控除できます。

  1. 夫と死別又は離婚(生死不明を含む)し、その後婚姻してない人で、扶養親族又は生計を一にする子(総所得金額等が38万円以下で、他の人の扶養親族等になっていない人)がいる人
  2. 夫と死別(生死不明を含む)し、その後婚姻していない人で、合計所得金額が500万円以下の人

シングルマザーの方や夫に先立たれた年配の女性は該当する可能性が高いです。

特別の寡婦の場合

上記の「一般の寡婦」に該当する人で、次の要件のすべてを満たす場合には、所得から『35万円』を控除できます。

  1. 夫と死別又は離婚(生死不明を含む)し、その後婚姻していない人
  2. 扶養親族である子がいる人
  3. 合計所得金額が500万円以下の人

『27万円』と『35万円』の控除を両方受けられるわけではありません。

特別の寡婦は『27万円』→『35万円』にアップするという意味です。

寡夫控除とは

寡夫控除とは、所得税法上の寡夫に当てはまる人が、所得から『27万円』を控除できる制度です。

寡夫控除の対象となるのは、次の要件のすべてを満たす人です。

  1. 妻と死別又は離婚(生死不明を含む)し、その後婚姻していない人
  2. 生計を一にする子(総所得金額等が38万円以下で、他の人の扶養親族等になっていない人)がいる人
  3. 合計所得金額が500万円以下の人

寡婦に比べて要件が厳しいのはなぜでしょう…。

寡婦控除・寡夫控除を忘れやすいケース

夫・妻が亡くなった年

その年12月31日時点の現況で寡婦・寡夫に該当するかどうかを判定しますので、配偶者が亡くなった年の確定申告から控除を受けられる可能性があります。

前年までは控除を受けていないため、忘れやすいので注意が必要です。

離婚した年

これも上記同様、離婚した年の確定申告から控除を受けられる可能性がありますので注意しましょう。

自身の所得が減った年

これまで合計所得金額の要件を満たさず控除を受けられなかった方は、自身の所得が減って「合計所得金額が500万円以下」になった場合に、寡婦・寡夫控除の要件を満たしていることに気づかず、控除し忘れている場合があります。

親を扶養している場合

一般の寡婦の「扶養親族」要件は、子どもに限りません。

親などを扶養親族にしていても対象になるのですが、子どもがいないと受けられないと勘違いし、控除を忘れている場合があります。

控除し忘れていることに気づいたら

もし過年度の確定申告又は年末調整で控除漏れが発覚した場合、申告期限から5年間は税務署へ「更正の請求」又は「還付申告」をして税金を還付してもらうことができます。

控除を忘れている年がないかどうか、一度確認してみましょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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