個人事業主の消費税の納税義務。開業1年目から3年目までの判定方法

ポイント:開業1年目は免税。2年目は原則免税だが、1年目の上半期の売上によっては課税事業者になる場合も。3年目は1年目の売上または2年目上半期の売上で判定。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

事業を行っている個人事業主や法人には原則、消費税の納税義務があります(消費税の「課税事業者」といいます)が、場合によっては消費税の納税義務が免除されることもあります(消費税の「免税事業者」といいます)。

同じ事業者でも年によって「課税事業者」になったり「免税事業者」に戻ったりすることもあり、納税義務の判定は非常に重要かつ間違えやすいポイントでもあります。

特に注意が必要な「開業・設立1年目から3年目」の消費税の納税義務の判定について、「個人事業主」の場合と「法人」の場合に分けて解説します。

まずは個人事業主の場合です。

開業1年目は納税義務なし

消費税の納税義務は原則、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合に生じます。

  • 「基準期間」とは、個人事業主の場合、前々年(2年前)のこといいます。
  • 「課税売上高」とは、消費税のかかる売上のことをいいます(アパートの家賃収入など消費税のかからない売上もありますが、ほとんどの売上は消費税がかかります)。

開業1年目はそもそも基準期間が存在しない(2年前はまだ事業を行っていない)ため、自動的に免税事業者となります。

開業2年目も原則として納税義務なしだが…

原則として免税事業者

開業2年目についても基準期間が存在しない(2年前はまだ事業をおこなっていない)ため、原則として免税事業者となります。

特定期間の課税売上高に注意

ただし、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合には、例外として消費税の課税事業者となります。

「特定期間」とは、個人事業主の場合、前年の1月1日から6月30日までの期間をいいます。

したがって、開業1年目の1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円を超える場合には、2年目でも消費税の納税義務が生じることになります。

ちなみに、開業日が年の途中の場合には、例えば4月1日の開業であれば4月1日から6月30日までの3ヵ月間の課税売上高が1,000万円超かどうかで判定しますし、7月1日以降の開業であれば特定期間が存在しないため2年目は免税事業者となります。

特定期間の給与支払額で判定することも可

なお、特定期間の課税売上高による消費税の納税義務の判定については、特定期間中の「課税売上高」に代えて、特定期間中の「給与支払額」が1,000万円超かどうかにより判定することも可能です。

たとえば、特定期間の課税売上高が1,500万円、同期間の給与支払額が900万円だった場合、

  1. 課税売上高:1,500万円 > 1,000万円 → 課税事業者
  2. 給与支払額:900万円 ≦ 1,000万円 → 免税事業者

どちらかで判定することになります(課税事業者になってもOK、免税事業者でもOK)。

「a.」を採用して課税事業者になる場合は税務署に届出書を提出しますが、通常は課税事業者にはなりたくありませんので、「給与支払額」による判定を採用して免税事業者となります(届出は不要)。

もちろん、特定期間の課税売上高・給与支払額ともに1,000万円超の場合には、問答無用で課税事業者となります。

開業3年目は基準期間と特定期間の課税売上高で判定

原則は基準期間の課税売上高で判定

開業3年目は基準期間、つまり開業1年目の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかにより消費税の納税義務を判定します。

なお、個人事業主の場合、開業日が年の途中であったとしても課税売上高を年換算して判定することはありません

たとえば、4月1日に開業し、1年目の課税売上高が900万円だった場合、これを年換算すると1,200万円(900万円÷9月×12月)となりますが、あくまで基準期間の課税売上高は900万円となります。

法人の場合、基準期間が1年未満のときは課税売上高を年換算して判定しますので、個人事業主と混同しないよう注意が必要です。

特定期間の課税売上高による判定も必要

また、特定期間の課税売上高による判定は3年目以降も継続します。

したがって、開業3年目であれば2年目の1月1日から6月30日の課税売上高と給与支払額がともに1,000万円超の場合には、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても課税事業者となります。

まとめ

特定期間による判定については、上半期の給与の支払額が1,000万円を超えないよう、賞与などでコントロールして消費税の納税義務を回避することも可能です。

開業直後から大きな売上が見込める場合には、2年目・3年目の消費税の納税義務も意識した給与設定が重要となります。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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