未支給年金は相続財産ではなく一時所得。死亡後に振込まれた場合は?

ポイント:未支給年金の請求権は遺族固有の権利であるため相続財産には該当せず、遺族の一時所得となる。亡くなった直後、請求手続き前に振り込まれた年金も同様。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

国民年金や厚生年金といった公的年金は「後払い」のため、年金受給者が亡くなると必ず未支給の年金が発生します。

この未支給年金、本来亡くなった方が受け取るべきものだったことから「未収入金」として相続財産になると思われがちですが、過去の判例等から、受け取った遺族の「一時所得」に該当するものとされています。

未支給年金とは

公的年金の給付は2ヵ月に1度、偶数月の15日に前月分と前々月分が支給されるという「後払い」形式をとっています。

もし年金受給者が亡くなった場合、年金は亡くなった月の分まで発生しますので、受給者本人が生前に受け取ることのできない年金が必ず発生します(これを「未支給年金」といいます)。

たとえば8月20日に亡くなった場合、亡くなる直前の8月15日に「6月分」・「7月分」の年金を受け取っていますが、亡くなった8月にも年金が発生します(本来10月15日支給予定)ので、この「8月分」が未支給年金となるわけです。

未支給年金は、遺族が年金事務所等で請求手続きを行うことにより受け取ることができます(通常は年金受給権者の「死亡の届出」と同時に行います)。

未支給年金には相続税はかからない

未支給年金請求権は遺族固有の権利

さて、未支給年金は本来、被相続人が受け取るべきものであったことから、これを未収賃料や未収給与と同様にとらえ、相続財産(未収入金)として相続税の課税対象になると考える向きもありました。

しかし現在では、未支給年金請求権の相続財産性を否定した最高裁判決(平成7年11月7日)等を踏まえ、未支給年金は相続財産には該当せず、また遺産分割の対象にもならないとされています。

未支給年金について最高裁判決では、国民年金法第19条に規定する「未支給年金を請求することのできる者の範囲及び順位」の定め方が「民法に規定する相続人の範囲及び順位」とは異なっていることを根拠に、民法上の相続とは別に、遺族の生活保障を目的として一定の遺族に対して未支給の年金の支給を認めたものと解すべき、としています。

すなわち、未支給年金の請求権は「遺族固有の権利」であるため、相続税の課税対象にはならないというわけです。

ちなみに、最高裁判決が根拠としているのは「国民年金」法の条文ですが、未支給の「厚生年金」・「共済年金」についても同様に、相続財産には該当しません。

亡くなった直後に振り込まれた年金は?

年金の支給日の直前に亡くなり、支給日時点で死亡の届出をしておらず、また預金口座も凍結されていない場合には、亡くなった方の口座に年金が振り込まれてしまいます。

この、請求手続きをする前に被相続人の口座に振り込まれた年金についても同様に、未支給年金として相続財産の対象外となります。

未支給年金は遺族の一時所得

遺族が受け取った未支給年金は、所得税基本通達34-2の規定により、その遺族の一時所得に該当することになります。

所得税基本通達34-2(遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等)

死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等で、その死亡後に支給期の到来するもののうち9-17により課税しないものとされるもの以外のものに係る所得は、その支払を受ける遺族の一時所得に該当するものとする。

一時所得の計算上は50万円の特別控除がありますので、一般的には課税対象となる可能性は低いと思われます。

ただし、年金支給日の直前に亡くなった場合には、最大で3ヵ月分の未支給年金が発生することになります(たとえば8月10日に亡くなった場合、8月15日に支給予定だった「6月分」・「7月分」と、10月15日に支給予定だった「8月分」が未支給年金に該当)ので、50万円を超えて一時所得が発生する可能性が高まります。

偶数月の上旬(1日~14日)に亡くなった場合には特に注意が必要です。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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