自宅の屋根に太陽光パネルを設置。相続税評価の方法は?

ポイント:「屋根一体型」は家屋の評価額に含まれるため個別評価は不要。「屋根置き型」は定率法未償却残高で評価。


こんにちは。税理士の関田です。

ZEH住宅をはじめ、省エネルギー性能の高い住宅の普及が促進されている昨今、屋根上に太陽光発電設備(太陽光パネル)が設置された家屋が増えています。

太陽光発電設備も「財産」ですので、その所有者が亡くなった場合には相続税の課税対象となりますが、相続税評価はどのように行うのでしょうか?

屋根一体型の場合

「屋根一体型」の場合、太陽光パネルと屋根材が一体となっており、太陽光パネル自体の取り外しができません。

つまり、太陽光パネル自体が屋根の一部として建物を構成しているため、家屋の固定資産税評価額にも太陽光パネルが含まれていることになります。

したがって、太陽光発電設備を個別の相続財産として評価する必要はありません

屋根置き型の場合

一方「屋根置き型」の場合、屋根材の上に架台を取り付け、その上に太陽光パネルを設置するため、取り外しも可能です。

このような太陽光発電設備は、一般動産として評価しなければなりません。

<財産評価基本通達129>

一般動産の価額は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産については、その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価する。

上記通達によれば、一般動産は原則として売買実例価額等をベースに評価するとされていますが、中古の太陽光発電設備の売買実例等を把握することは現実的には困難ですので、実務上は取得価額(≒新品の課税時期における小売価額)から減価償却費を控除した金額で評価するのが一般的です。

その際、減価償却費は耐用年数17年・定率法で計算し、経過年数に1年未満の端数がある場合は切上げます。

具体的な計算方法は、以下の事例でご確認ください。

<前提条件>

・取得日:令和3年4月1日

・取得価額:2,000,000円

・相続開始日:令和6年5月31日

<評価額>

2,000,000円 × 0.605(※) 1,210,000円

※耐用年数17年、経過年数4年(3年2月→4年)の場合の未償却残額割合を国税庁HPの定率法未償却残額表にて確認

 

まとめ

太陽光発電設備のある住宅の相続では、家屋の固定資産税評価額に太陽光パネルが含まれているか否かの判断が重要です。

もし分からない場合は、自治体の家屋評価担当窓口に確認しましょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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