精算課税贈与財産を相続後に譲渡。取得費加算の特例は使える?

ポイント:相続時精算課税贈与財産・7年(3年)以内暦年課税贈与財産ともに、相続開始後3年10ヵ月以内に売却した場合は相続税額の取得費加算特例が使える。


こんにちは。税理士の関田です。

令和6年(2024年)1月より、生前贈与に関する税務上のルールが大きく変わりました。

「暦年課税贈与」の相続財産への加算期間が3年から7年に延長された一方、「相続時精算課税贈与」について新たに年110万円の基礎控除が設けられたことで、今後は精算課税制度の利用が増えていくことでしょう。

さて、せっかく生前に贈与を受けた財産でも、相続税の納税のために売却せざるを得ないケースもあるかと思います。

”相続”により取得した財産を一定期間内に売却した場合、支払った相続税の一部を譲渡所得の経費にできる「相続税額の取得費加算の特例」を使うことができますが、”贈与”により取得した財産を売却した場合でも同特例を使うことはできるのでしょうか?

相続税額の取得費加算の特例とは?

「相続税額の取得費加算の特例」は、相続税の支払いのために相続財産を売却した人に対し譲渡所得税を課税することで税負担が重くなってしまうことを考慮し、譲渡所得税を軽減してあげようと設けられている制度です。

具体的には、譲渡所得の計算上、譲渡収入から差し引く「取得費」に支払った相続税の一部(売却した財産に対応する相続税額)を加算することができます。

譲渡収入 - ( 取得費 + 取得費に加算する相続税 + 譲渡費用 ) = 譲渡所得

たとえば、ある相続人が取得した財産が計5,000万円、支払った相続税が300万円だったケースで、評価額2,500万円の財産を売却した場合、相続税のうち150万円(300万円×2,500万円/5,000万円)を取得費に加算できるというイメージです。

なお、この特例を使うには、相続した財産を相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(=相続開始後3年10ヵ月以内)に譲渡していなければなりません。

⇒ 国税庁HP『相続財産を譲渡した場合の取得費の特例』

相続時精算課税による贈与財産への特例適用は?

この特例は相続より取得した財産を譲渡した場合に適用するのが一般的ですが、正確には相続税の課税価格の計算の基礎に算入された財産(=相続税の課税対象となった財産)の譲渡が対象です。

相続時精算課税贈与により取得した財産は相続税の課税対象となりますので、これを譲渡した場合にも特例の適用が可能となります。

暦年課税による贈与財産への特例適用は?

では、暦年課税贈与により取得した財産を相続開始後に譲渡したらどうでしょう?

暦年課税の場合、相続開始日からさかのぼって7年以内(令和5年12月31日以前の贈与は3年以内)に行われた贈与は相続財産に持ち戻され、相続税の課税対象となります。

したがって、持ち戻し期間内に暦年課税贈与により取得した財産を譲渡した場合には特例の適用が可能です。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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