青色申告が取り消しとなる条件と再申請の方法。個人事業主編

ポイント:個人事業主の場合、期限内に申告しなくても青色申告の承認は取り消されない。ただし、期限後申告の場合の青色申告特別控除額は65万円から10万円に減額。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

前回は法人の青色申告の取消しについてご説明しました。

⇒ 前回ブログ 『青色申告が取り消しとなる条件と再申請の方法。法人編』

続いて今回は、個人事業主の場合を解説します。

個人事業主の青色申告のメリット

取消し条件を確認する前に、そもそも個人事業主が青色申告を行うべき理由についておさらいしておきましょう。

個人事業主が青色申告を行うメリットとしては、主に次のようなものがあります。

  • 青色申告特別控除が受けられる(65万円 or 10万円)
  • 純損失を翌年以降3年間繰り越すことができる
  • 純損失を前年に繰り戻して所得税の還付を受けることができる
  • 家族に青色事業専従者給与を支給することができる
  • 30万円未満の少額減価償却資産を全額経費にできる
  • 各種特別償却、特別控除の特典を受けられる

個人事業主の場合、法人以上に青色申告によるメリットが大きいため、万が一青色申告の承認を取り消されたときのダメージも非常に大きなものになります。

個人事業主の青色申告が取り消される条件

個人の青色申告の承認の取消しについては所得税法150条1項に規定されており、実務上はこの規定の適用に関する留意事項を定めた「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」に基づいて取り扱われています。

帳簿書類を提示しない場合

税務調査において税務職員が帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず、青色申告者がその帳簿書類の提示を拒否した場合には、青色申告の承認の取消事由に該当します。

この場合、その提示がされなかった年分のうち最も古い年分以降の年分について、承認が取り消されることになります。

税務署長の指示に従わない場合

帳簿書類の備付け等について、青色申告者が税務署長の指示に従わない場合には、青色申告の承認の取消事由に該当します。

この場合、その指示に係る年分以降の年分について、承認が取り消されることになります。

隠ぺい、仮装等があった場合

青色申告者につき、次のいずれかに該当する場合には、その該当することとなった年分以降の年分について、青色申告の承認が取り消されます。

① 所得金額の更正・決定があった場合において、その「更正・決定後の所得金額」のうち「隠ぺい・仮装の事実に基づく所得金額」が、その「更正・決定後の所得金額」の50%相当額を超えるとき(ただし「隠ぺい・仮装の事実に基づく所得金額」が500万円未満のときを除く)

② 純損失の金額を減額する更正があった場合において、その「更正により減少した純損失の金額」のうち「隠ぺい・仮装の事実に基づく金額」が、「当初申告の純損失の金額」の50%相当額を超えるとき(ただし「隠ぺい・仮装の事実に基づく金額」が500万円未満のときを除く)

③ 帳簿書類への記載等が不十分である等のため、推計によらなければ適正な所得計算ができないと認められる状況にある場合

なお、上記①又は②に該当する場合であっても、その年分前7年以内の各年分において次のいずれの要件も満たし、かつ、今後適正な申告が期待できると認められるときは、青色申告の承認の取消しを見合わせることとされています。

  1. 青色申告の承認の取消しを受けていないこと
  2. 税務調査で否認された「隠ぺい・仮装の事実に基づく金額」が500万円未満であったこと

相当の事情がある場合

上記のような事由に該当しない場合でも、正規の帳簿を作成していない(二重帳簿、仮装・隠ぺいした帳簿を作成している等)など、その納税者の帳簿書類の記録の状況、申告書の提出状況等からみて青色申告の承認の取消しをすることが相当と認められるときは、取消しが行われるケースもあります。

個人事業主が期限内申告できなくても青色申告は取り消されない

個人事業主の場合、法人とは異なり、無申告又は期限後申告があった場合に青色申告の承認を取り消す旨の規定はありません

ただし、期限後申告の場合の青色申告特別控除額は、複式簿記による帳簿を作成している場合でも65万円から10万円に減額されてしまいますのでご注意ください。

青色申告の再承認を受けるには

青色申告が取り消される場合、税務署から「青色申告の承認の取消通知書」が届きます。

取消し後、再び青色申告の承認を受けることは可能ですが、取消しの通知を受けた日から1年以内に提出した「青色申告承認申請書」については、その申請を却下することができることとされています(所得税法145条3号)。

1年以内に再申請をできないわけではありませんが、通常は却下されることになるため、実務上は取消しの通知日から1年を経過した後に「青色申告承認申請書」を再提出するのが一般的です。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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