年の途中で事業的規模でなくなった場合。青色65万円控除は可能?

ポイント:年の途中で不動産賃貸業が事業的規模に該当しなくなった場合でも、その年は65万円の青色申告特別控除を受けられる。翌年からは10万円控除に。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

不動産賃貸業を”事業的規模”で行っており、かつ、青色申告で正規の帳簿を作成していれば適用できる65万円の青色申告特別控除。

1年を通じて事業的規模に該当していれば問題ありませんが、なかには、当初は事業的規模に該当していたものの、アパートを売却したり取り壊したりすることで年の途中から事業的規模に該当しなくなるケースもあるかと思います。

このような場合でも、65万円の青色申告特別控除を受けることは可能でしょうか?

不動産所得における事業的規模とは?

不動産所得の申告を青色申告で行う場合、①不動産賃貸業が事業的規模に該当し、かつ、②複式簿記による帳簿を作成しているときは、不動産所得から青色申告特別控除として65万円を控除することができます(事業的規模に満たない場合や簡易な帳簿の場合は10万円控除)。

ここで、「①不動産賃貸業が事業的規模に該当」するかどうかは、一般的に『5棟10室基準』により判定されることになります。

<5棟10室基準>

  • 戸建の貸家であれば5棟以上
  • アパートなどの共同住宅であれば10室以上

→ 事業的規模に該当

なお、月極駐車場の賃貸を行っている場合には、「車5台分」を「共同住宅1室」に換算することが一般的に認められています。

また、物件を共有で所有している場合でも、5棟10室基準を満たすかどうかは単純に棟数・室数で判定します(たとえば10室のアパートの持分1/2を所有していたとしても、「10室×1/2=5室」として判定する必要はありません)。

年の途中で事業的規模に該当しなくなった場合

当初は事業的規模で不動産賃貸業を行っていたものの、

  • アパートを取り壊した
  • アパートを売却した

といった理由により年の途中で事業的規模に該当しなくなった場合の青色申告特別控除はどうなるのでしょうか?

このようなケースに関しての明文規定はありませんが、複式簿記による帳簿を作成している限りは65万円控除を適用できるものと考えられます。

これは、65万円の青色申告特別控除の適用について「その年12月31日まで”事業”を継続していること」という要件が付されていないためです。

年の途中で事業的規模に該当した場合は?

上記とは逆に、当初は非事業的規模だったものの、その後新たにアパートを購入するなどして『5棟10室基準』を満たすようになる場合もあるかと思います。

このように、年の途中で事業的規模に該当した場合でも、複式簿記による帳簿を作成していれば65万円控除を適用できるものと考えられます。

事業的規模に該当しなくなった場合の青色事業専従者給与

不動産賃貸業を行っている青色申告者は、賃貸業を手伝っている家族に青色事業専従者給与を支給することができますが、これは不動産賃貸業を事業的規模で行っている場合に限られます

したがって、これまで青色事業専従者給与を支給していた場合でも、年の途中でアパートを売却した等の理由により事業的規模に該当しなくなったときは、それ以降、青色事業専従者給与の支給はできなくなりますのでご注意ください。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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