仕訳数を減らそう。個人事業主が経理を楽にするためにやるべきこと

ポイント:事業用とプライベート用のお金の流れをきっちりと分ければ、無駄な仕訳を入力する手間が省けて経理が楽になる。


こんにちは。税理士の関田です。

個人事業主・フリーランスの方は、忙しい本業のかたわら、経理事務も基本的には自分でこなさなければなりません。

であれば、帳簿入力もなるべく手間をかけずに終わらせたいところ。

「クラウド会計ソフトで銀行取引・クレカ取引を自動連携」ももちろん良いのですが、その前に是非やっておくべきことを3つご紹介します。

事業専用の口座を用意する

まず、銀行口座は”事業用”と”プライベート用”に完全に分けることです。

65万円の青色申告特別控除を受けるためには「貸借対照表」というものを確定申告書に添付する必要がありますが、この「貸借対照表」を作るには、事業で使用している銀行口座の1年分の取引を会計ソフトに入力しなければなりません。

ここでポイントとなるのは、プライベートでも使用している兼用口座の場合、事業用の入出金だけでなくプライベート用の入出金もすべて入力する必要があるということです(そうしないと口座残高と帳簿残高が合わなくなるため)。

プライベートな入金は『事業主借』出金は『事業主貸』という勘定科目で処理することになりますが、損益(所得)には一切影響しないため、ただただ無駄な入力作業となってしまいます。

事業に使っていない自宅の光熱費や生命保険料が毎月引き落とされていたりすると、年間では結構な仕訳数となることも。

意味のない作業を減らすためにも、事業に使う口座は”事業専用”にしておくことをお勧めします。

事業専用のクレジットカードを用意する

次に、クレジットカードも”事業用”と”プライベート用”に完全に分けると良いでしょう。

クレジットカードの経理処理は、カード使用時に

(借)●●費 ✖✖✖円  (貸)未払金 ✖✖✖円

と入力し、毎月の引落時には

(借)未払金 ✖✖✖円  (貸)普通預金 ✖✖✖円

と入力して『未払金』を消すというサイクルを繰り返していきます。

もしそのクレジットカードが事業・プライベート兼用だったとすると、先の銀行口座と同様、プライベート利用分については無駄な『事業主貸』の仕訳を入力しなければなりません。

さらにいうと、兼用のカードは後で取引明細を見返したときに、どの支払いが事業用でどの支払いがプライベート用だったのかがわからなくなる恐れがあります(ちゃんとレシートや領収書をとっておかないと)。

複数のカードを所持している場合は、事業用とプライベート用で使い分けましょう。

事業用の買物とプライベート用の買物は分ける

また、同じ日に同じお店で事業用のモノとプライベート用のモノを買う場合には、その時は多少面倒であってもお会計を分けることをお勧めします。

1枚のレシートの中から事業用の買物代金だけを抜き出して経理処理するのは面倒ですし、レシートが外税表記の場合は経費となる税込金額を電卓で計算しなければなりません。

しかもそれがクレジットカード払いだったりすると、せっかくクラウド会計ソフトで取引情報を自動取り込みできても、複合仕訳にして勘定科目・金額を手動で分ける(『●●費』と『事業主貸』)手間がかかるのです。

レシートはパッと見た瞬間に仕訳が入力できる状態にしておきたいですね。

まとめ

インボイス制度が始まると、これまでの手書き・エクセルによる簡易帳簿から脱却して、会計ソフトによる経理を始める方が増えてくるかと思います。

経理省力化の近道は、”事業用”と”プライベート用”のお金の流れを分けること。

事業用の銀行口座はできれば1つ(多くても3つまで)に、クレジットカードは1つにまとめておきたいものです。

そのためには各種支払について引落口座や決済カードをひとつずつ変更していかなければなりませんが、その時は面倒でも、きっと後が楽に(そして経理が楽しく)なると思います。


 

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