相続税の申告は必要?国税庁の「申告要否判定コーナー」を活用しよう

こんにちは。税理士の関田です。
国税庁のホームページには(なんだかなぁ・・・)と思わされることも多いですが、こと「確定申告書等作成コーナー」に関してはよく出来ていると感心させられます。
実際、私自身の毎年の確定申告書は、普段使用しているベンダーソフトを差し置き、国税庁HPで作成して電子申告しているくらいです。
ところで、「確定申告書等作成コーナー」の姉妹ページ(?)として、「相続税の申告要否判定コーナー」というものがあるのをご存じでしょうか?
相続税の申告が必要なのは10人に1人?
「相続税の申告が必要となるのはごく一部の富裕層のみ」という時代はとうに過ぎ、一般家庭でも相続税から逃れられない世の中となりました。
ひと昔前は約4%だった課税割合は、平成27年からの大増税(基礎控除4割カット)により約8%へと倍増。
その後も地価や株価の上昇などの影響で課税割合は上がり続け、直近のデータ(令和5年分)では9.9%となっています。
いまや10人に1人は相続税の申告が必要な時代。
しかも、この数字はあくまで全国平均ですので、地価の高い都心部では当然ながら課税割合はもっと高くなります。
たとえば東京都に限ると、課税割合は18.9%(令和5年分)で、ほぼ5人に1人は相続税申告が必要な時代に突入しているのです。
申告要否の把握には「相続税の申告要否判定コーナー」が便利
となると、相続が発生してから葬儀、四十九日等を終えて一段落したら、相続税申告が必要となるかどうか、早めに把握しておく必要があります。
申告期限は相続発生から10ヵ月後。
相続税申告作業では、【資料収集 ⇒ 評価 ⇒ 遺産分割 ⇒ 申告書作成 ⇒ 申告・納税】にたどり着くまで大体3か月~半年程度かかります。
10ヵ月”も”ある、ではなく、10ヵ月”しか”ないのです。
果たして相続税申告の必要はあるのか、本来であれば税理士に相談するのが理想的ですが、知り合いに税理士がいなかったり、費用の心配があったりでなかなか相談できないケースもあるでしょう(税理士会や自治体では定期的に無料相談会が開催されています)。
そこで是非ご活用いただきたいのが、国税庁HPの「相続税の申告要否判定コーナー」です。
画面の案内にしたがい法定相続人の数と相続財産を入力すると、相続税の申告が必要かどうかの判定が出るほか、「小規模宅地等の減額」や「配偶者の税額軽減」といった特例を適用した上での納税額シミュレーションまで行うこともできます。
税務署から届いた「お尋ね」への回答にも利用可
税務署はあらゆる蓄積データから相続税申告が必要となる可能性があると判断した場合、相続人へ「相続税の申告等についてのご案内」という書類を送ります。
いわゆる”お尋ね”です。
もしお尋ねが届いたら、たとえ申告不要でも無視せず回答した方が良い(義務ではない)ですが、判定コーナーで作成した「相続税の申告要否検討表」を回答に利用することもできます。
お尋ねが届くタイミングは、相続発生から半年以上経過し申告期限が近づいてきてから、というケースがほとんどです。
判定コーナーに入力したデータは、お尋ねが来た場合に備えて保存しておいた方が良いでしょう。
まとめ
判定の結果、明らかに相続税申告の必要がなければひと安心となりますが、基礎控除をギリギリ下回るような場合は念のため税理士に相談することをお勧めします。
財産評価の方法が間違っていたり、本来計上が必要な財産が漏れていたりして、正しく計算したら実は基礎控除を超えていて申告が必要だった、というケースもよくあるからです。
判定コーナーはあくまで申告要否や納税額をおおまかに把握するためのツールとして活用していただければと思います。
※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。
当事務所のサービスメニュー・料金について
初回のご面談は無料です(単発の税務相談・コンサルティングを除く)。
オンラインでのビデオ面談もお受けしております。