通勤手当はどこまで非課税か。新幹線・ライナー・グリーン車は?

ポイント:新幹線代は非課税だが、グリーン車代は給与として課税。ライナー代は基本的に給与として課税されるが、場合によっては非課税と認められる可能性も。


こんにちは。税理士の関田です。

会社・個人事業主が役員や従業員に対して支給する通勤手当については、原則として非課税となっています。

通勤距離が長い方の場合、新幹線を使うなど、追加料金を支払うことで通勤時間を大幅に短縮できるケースもあると思いますが、もし勤務先にその分も負担してもらう場合、どこまで非課税になるのでしょうか。

公共交通機関を利用して通勤する場合の、非課税となる通勤手当の範囲を解説します。

経済的かつ合理的な通勤方法であれば非課税

電車やバスなど公共交通機関を利用して通勤している場合、通勤のための運賃・時間・距離などの事情から判断して、最も「経済的」かつ「合理的」な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期代等については非課税とされています。

ただし、1ヵ月の非課税額の上限は15万円ですので、15万円を超える部分は給与として課税されます。

なお、「経済的」とは最も安いルート、「合理的」とは最も速いルートのことを指してます。

もしも、

  1. 安いけど遅いルート
  2. 高いけど速いルート

の2種類のルートがあった場合、本人としては勿論「速いルート」の方が良いわけですが、会社がそれを認めて高いルート分の定期代を支給したとしても、スピード面から合理的なルートであれば非課税で問題ありません。

新幹線代は?

遠距離通勤の場合、新幹線を使ったほうが格段に速いケースもあります。

「所得税基本通達9-6の3」では、

令第20条の2に規定する「その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額」には、新幹線鉄道を利用した場合の運賃等の額も含まれるものとする。

と規定されており、通勤距離・時間から考えて明らかに新幹線通勤の方が合理的であれば、支給された新幹線定期代は非課税となります。

グリーン車代は?

より快適に通勤するためにグリーン車に乗りたい、という方もいらっしゃるかもしれませんが、上記通達の「(注)書き」において、

「最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額」の中には、令第167条の3第1 項第1号に規定する「特別車両料金等」は含まれないことに留意する。

とあるため、グリーン券代や、グリーン定期代と一般定期代との差額については、給与として課税されます。

グリーン車に乗ったからといって早く到着するわけではないので、当然といえば当然です。

ライナー代は?

JRのホームライナーや私鉄各社の「〇〇ライナー」については微妙なところです。

「通勤時間帯でも着席乗車できる」という快適さが売りですので、通常の快速列車等とほぼ変わらない速度のライナーであれば、グリーン車代と同様、ライナー代も給与として課税されるでしょう。

しかし、なかには停車駅を極端に少なくしスピードも兼ね備えたライナーもあります。

通常料金で利用できる最も早い列車(快速・急行など)と比べてもさらに数十分短縮できるなど、ライナーを利用したほうが合理的と認められる場合には、新幹線代と同様、非課税となる可能性もあるでしょう。

まとめ

もちろん、新幹線やライナーなら何でも非課税というわけではありません。

支給基準が曖昧だと、税務署にツッコミどころを与えてしまいます。

通勤距離や時間など、支給の対象となる基準を「通勤手当支給規定」などの社内規定に明記しておくことも大事です。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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