離婚による財産分与と税金。不動産を分与すると譲渡所得税がかかる?

ポイント:不動産を財産分与すると、時価で譲渡したものとみなして譲渡所得税の課税対象になる。ただし分与した不動産が自宅の場合には居住用財産の特例を使える可能性も。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

日本では、離婚率が年々増加しています。

熟年での離婚ともなると、それまで夫婦で協力して築き上げた財産として、現金だけでなく不動産を分与するケースもあるかと思います。

不動産を分与する場合には、渡す側・もらう側の両方に税金がかかるケースもありますので注意しましょう。

財産をもらう側の税金

原則として贈与税はかからない

離婚による財産分与は、贈与による財産の取得とは異なりますので、原則として贈与税はかかりません

ただし、分与された財産の額が、

①婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他一切の事情を考慮してもなお多過ぎると認められる場合には、その「多過ぎる部分」に対して、

②離婚を手段として贈与税や相続税を免れようとしたと認められる場合には、「すべての分与財産」に対して、

贈与税がかかることになります。

不動産をもらった場合には税金がかかる場合も

分与される財産が不動産の場合、登記の際に登録免許税が、また場合によっては不動産取得税もかかることがあります。

登録免許税

不動産の場合は所有権移転登記を行う必要がありますので、登録免許税がかかります。

税額は「固定資産税評価額×2%」です。

その他、司法書士報酬等も必要になります。

不動産取得税

分与された不動産が婚姻中に購入されたものであり、名義上は単独所有であっても、実質的には夫婦の共有財産と認められる場合には、婚姻中の財産の清算と考えられますので不動産取得税はかかりません

しかし、婚姻前から所有していた不動産や、婚姻中に相続によって取得した不動産など、夫婦の一方のみが実質的に所有していた不動産を分与した場合には、不動産取得税の対象となります。

税額は「固定資産税評価額×3%」です。

以上が一般的な取扱いではありますが、地方税法に明文化されているわけではなく、都道府県により取扱いが異なる場合もありますのでご注意ください。

なお、分与財産が自宅であり、分与された方が引き続き居住されるときは、不動産取得税の対象となる場合でも、中古住宅の軽減特例を受けられる可能性があります。

財産を渡す側の税金

現預金であれば問題なし

財産分与として現金や預金を渡す場合には、渡した側に何ら税金がかかることはありません

不動産を分与すると譲渡所得税の対象に

離婚により財産分与として資産の移転があった場合、分与した時の時価により資産の譲渡があったものとして譲渡所得税の課税対象となります。

財産を渡した上に税金まで取られるというのは理不尽な気もしますが、税務上はそのように取り扱われます。

現預金以外で分与される代表的な財産は不動産でしょう。

たとえば、時価5,000万円の土地を財産分与し、その土地の購入時の価格が4,000万円だった場合、

「 5,000万円 -4,000万円 = 1,000万円 」

が売却益とみなされ、譲渡所得税が課税されます。

税率は、

短期譲渡の場合(分与した年の1月1日現在で所有期間が5年以下)… 39.63%

長期譲渡の場合(分与した年の1月1日現在で所有期間が5年超) … 20.315%

です。

自宅の場合は軽減措置あり

分与した不動産が自宅だった場合、

①まず居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除が適用され、

②また譲渡益が3,000万円を超える場合でも、所有期間が10年を超えていれば軽減税率が適用されます。

ただし、次の点には注意が必要です。

・①②の特例は親族間の譲渡には適用されませんので、あくまで離婚後に分与することが条件です。

・①②の特例は譲渡者が居住しなくなってから3年目の年末までに譲渡した場合に適用されるものですので、長期間別居状態にあり譲渡者が別宅に住んでいた場合には適用されない可能性があります。

財産をもらった側が将来その財産を売却した場合

財産を分与された側が将来その財産を売却した場合、譲渡所得の計算上、「いつ取得したのか(取得時期)」「いくらで取得したのか(取得費)」が問題となります。

取得時期は「分与された時」

分与された財産は、分与された時に取得したものと考えます(当たり前と思われるかもしれませんが)。

したがって、「分与日~売却日」までの期間によって短期譲渡・長期譲渡の判定を行うことになります。

取得費は「分与された時の時価」

分与された財産は、分与された時の時価で取得したものと考えます。

上記の例でいえば、「5,000万円」で取得したものとして譲渡所得を計算することになります。

自宅の場合には軽減措置あり

分与された後も引き続き住んでいた自宅を売却した場合には、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除軽減税率の対象になる可能性があります。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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