会社設立初年度が1年未満の場合の減価償却。按分するのは「償却率」

ポイント:法人の事業年度が1年未満の場合の減価償却計算では、まず償却率を月数按分し、按分後の償却率を乗じて計算した償却費をさらに事業供用月数で按分する。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

会社の事業年度は基本的には1年ですが、開業初年度や決算期を変更したときなどは事業年度が1年未満になるケースもあります。

その場合、減価償却費の計算では当然ながら12ヵ月分をまるまる計上することはできないわけですが、按分計算の方法を間違えないよう気を付けましょう。

事業年度が1年未満の場合の減価償却費の計算方法

「償却率」を月数按分する

会社の事業年度が1年未満の場合、減価償却計算でありがちなミスは次のようなものです。

<間違った計算方法>

取得価額(期首帳簿価額)× 償却率 × 事業供用月数/12月 = 減価償却費

上記の計算式では、1年分の償却費を計算した後に事業供用月数に応じて月数按分しています。

確かに、通常の事業年度の途中で固定資産を取得した場合には上記のような計算を行いますので、一見正しいように思えます。

しかしながら、事業年度が1年未満の場合にはまず「償却率」を月数按分して算出した「調整後の償却率」をもとに減価償却費を計算するのがルールです。

また、期中取得の場合にはさらに事業供用月数に応じて月数按分を行うことになります。

<正しい計算方法>

本来の償却率 × その事業年度の月数/12月 = 調整後の償却率(小数点3位未満切上)

取得価額(期首帳簿価額)× 調整後の償却率 × 事業供用月数/その事業年度の月数 = 減価償却費 

※1月未満の端数は1月とする

結果として、上の算式と下の算式で計算した減価償却費はおおむね一致しますが、調整後の償却率の端数処理の影響で少しずれることもあります。

なお、平成19年3月31日以前に取得した旧定率法の減価償却資産については計算方法が異なりますが、ここでは割愛します。

事業年度が11ヵ月を超えていれば償却率の調整は不要

償却率の調整を行う際、その事業年度の月数に1月未満の端数があるときは切り上げて1月とします。

つまり、事業年度が1年に満たない場合であっても、11ヵ月プラス1日でもあれば12月となりますので、償却率の調整計算を行う必要はありません。

具体例

では、具体例を使ってご説明しましょう。

定額法の場合

<前提条件>

  • 事業年度:R2.5.7 ~ R3.3.31
  • 取得価額:5,000,000円
  • 償却方法:定額法
  • 耐用年数:15年(償却率 0.067)
  • 事業供用日:R2.6.10

①償却率の調整

0.067 × 11月(※1)/12月 = 0.0614… → 0.062

※1 R2.5.7 ~ R3.3.31 … 10ヵ月25日 → 11月

②償却費の計算

5,000,000円 × 0.062 × 10月(※2)/11月 = 281,818円

※2 R2.6.10 ~ R3.3.31 … 9ヵ月21日 → 10月

定率法の場合

<前提条件>

  • 事業年度:R2.5.7 ~ R3.3.31
  • 取得価額:2,000,000円
  • 償却方法:定率法
  • 耐用年数:6年(償却率 0.333)
  • 事業供用日:R2.8.21

①償却率の調整

0.333 × 11月(※1)/12月 = 0.3052… → 0.306

※1 R2.5.7 ~ R3.3.31 … 10ヵ月25日 → 11月

②償却費の計算

2,000,000円 × 0.306 × 8月(※2)/11月 = 445,090円

※2 R2.8.21 ~ R3.3.31 … 7ヵ月11日 → 8月

まとめ

償却率の調整が必要なのは、あくまで法人の場合です。

個人事業主が年の途中で開業・廃業した場合にも同じような計算が必要と思われるかもしれませんが、個人の事業年度は開廃業があった場合でも「1月1日~12月31日」を1事業年度として計算しますので、償却率の調整計算は不要です(事業供用月数に応じた按分計算は必要)。

特に法人成りを行った場合には、個人と法人の計算方法の違いに注意しましょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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