相続登記の登録免許税が免税。1次相続で登記せず死亡した場合の特例

ポイント:1次相続で土地の相続登記をしないまま相続人が死亡した場合、その後行う1次相続の相続登記にかかる登録免許税が免税になる。2021年3月までの時限措置。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

土地の所有者不明問題が深刻化しています。

相続が起きても相続登記を行わないまま何代も経過してしまい、名義は数十年前に亡くなった故人のまま、実際の所有者が誰なのかもわからない、という状態の土地が増えているためです。

この問題を解消するため、国でも様々な方策が検討されていますが、その一つとして、1代前の相続登記にかかる登録免許税を免税にする特例が平成30年4月1日にスタートしました。

なぜ相続登記が行われないのか

不動産登記制度は、第三者に対してその不動産の権利者が誰なのかを知らしめるための制度です。

相続が起きた場合には通常、その不動産を相続した相続人の名義に変更するための手続(相続登記)を行うのが一般的です。

しかし、以下のような理由から、相続登記が行われず故人の名義のまま放置されている土地が増えており、公共事業などにおける不動産の利用に支障をきたすなど、ここ数年社会問題化しています。

相続登記は義務ではないから

不動産登記のうち、権利関係に関する登記は義務ではありません

登記はあくまで第三者に自分の権利を主張するための対抗力ですので、身内の中での所有権移転であれば、名義が故人のままでも問題が生じることはあまりありません。

登記費用がかかるから

相続登記には、その不動産の固定資産税評価額に対して0.4%の登録免許税がかかるほか、司法書士に登記を依頼する場合には司法書士の手数料もかかります。

例えば、評価額2,000万円の土地の相続登記を行う場合、

「2,000万円 × 0.4% = 8万円」

の登録免許税がかかり、これに司法書士の手数料も合わせると15万円程度にはなります。

この費用がもったいないので相続登記をしない、という方もいます。

手間がかかり面倒だから

相続人が一人だけ、あるいは有効な遺言書があればよいのですが、そうではない場合には遺産分割協議を行い、相続人全員の実印を押した遺産分割協議書を作成しなければ相続登記ができません。

相続登記には期限がないため、面倒だからと何となく先延ばしにしているうちに、次の相続を迎えてしまいます。

1代前の相続登記にかかる登録免許税の免税措置がスタート

所有者不明土地問題を解決するための一手として、平成30年度の税制改正により、1代前の相続登記にかかる登録免許税を免税にする特例が創設されました。

制度の概要

①個人が相続により土地を取得し、

②その相続登記を行う前に死亡した場合、

③平成30年(2018年)4月1日~平成33年(2021年)3月31日までの間に、その亡くなった個人を登記名義人とするための登記申請を行ったときは、

→ 登録免許税が免税になります。

具体例

平成5年12月31日 祖父が死亡(1次相続)

↓ 父が土地を相続(未登記)

平成29年9月1日 父が死亡(2次相続)

平成30年5月31日 長男が父の名義にする相続登記を申請 ⇒ 登録免許税が免税

上記の場合、免税になるのは1次相続の相続登記にかかる登録免許税のみですので、長男などが相続した場合の2次相続の相続登記は通常の登録免許税がかかります。

中間省略登記との関係

1次相続の相続登記を終える前に2次相続が開始した場合(「数次相続」といいます)、原則として2回の相続登記を行う必要があります。

しかし例外として、1次相続が単独相続(元々相続人が1人 or 分割協議で1人が相続)の場合、1次相続の登記(中間の相続登記)を省略して、2次相続における相続人へ直接所有権を移転させることができます(中間省略登記)

上記の例で、2次相続において長男が土地を相続した場合、

・原則は2回の相続登記を行い、そのうち1次相続の登録免許税が免税となる

・中間省略登記を行えば、1回分の登録免許税のみで済む

ため、どちらの方法でも負担は変わらないということになります。

まとめ

今回の措置により、放置されていた相続登記がどの程度進むのかは疑問です。

しかし、次は「少額な土地を相続した場合の登録免許税の免税措置」の創設も予定されており、今後も積極的な相続登記を促す制度づくりが行われ、最終的には相続登記の義務化もありえると考えられています。

相続未登記問題は、公共事業等への影響ももちろんですが、何よりも次世代の相続人に大きな負担を強いることになります。

問題を先送りにせず自分の世代で解決する、という強い意志が必要です。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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