合同会社と株式会社の違い。合同会社の特徴・メリットとは?

ポイント:合同会社は出資者が経営者となる。設立コストは株式会社の半分以下。


こんにちは。税理士の関田です。

新たに会社を設立する際、「合同会社(LLC)」という形態を選択するケースが増えています。

2018年7月1日付けの日本経済新聞の記事によれば、2017年に設立された会社のうち約4社に1社が合同会社だったそうです。

合同会社の特徴とメリット・デメリットをまとめました。

合同会社(LLC)の特徴

出資者=経営者

合同会社では、出資者が会社の経営者になります(「社員」といいます)。

逆にいうと、出資しなければ経営者にはなれないということです。

所有と経営が分離されている株式会社との一番の違いはここです(同族経営の株式会社の場合、ほとんどが「出資者=経営者」ではありますが)。

出資者は有限責任

合同会社の出資者(社員)は株式会社と同様、出資した金額の以上の責任を負うことはありません(有限責任)。

ただし、会社が金融機関から融資を受ける際、出資者(主に代表社員)が連帯保証人になるケースも多く、万が一会社が返済できなくなった場合、個人が借金の肩代わりすることになる可能性はあります(事実上の無限責任)。

1人でも設立可能

合同会社は株式会社と同様、1人で設立することが可能です。

税制は株式会社と同じ

合同会社に対する法人税等の税制は株式会社と同じです。

合同会社(LLC)のメリット

設立費用が安い

合同会社は株式会社と比べ、設立時のコストが抑えられます。

まず、合同会社の場合には定款認証手数料が不要です(株式会社は5万円)。

また、合同会社の設立登記にかかる登録免許税は最低6万円で済みます(株式会社は最低15万円)。

つまり、合同会社は株式会社と比べて14万円ほど安く設立することが可能です。

決算公告が不要

合同会社には決算公告義務がないため、株式会社のように決算書を公表する必要がなく、また公表のためのコスト(官報公告代など)もかかりません。

役員の任期がない

株式会社の場合、取締役の任期は最長でも10年であり、任期満了ごとに役員変更登記を行う必要があります。

一方、合同会社は社員の任期を定める必要がないため、役員変更登記の手間やコストがかかりません(社員の任期を定款に定めることは可能です)。

迅速な意思決定が可能

合同会社は会社の所有者と経営者が同一のため、株主総会のようなものを開く必要がなく、迅速な意思決定が可能となります。

合同会社(LLC)のデメリット

認知度が低い

徐々に広まってきてはいるものの、まだまだ社会的認知度が低い合同会社。

株式会社と比べると、取引先等からの信用力がやや劣る傾向にあります。

肩書が分かりにくい

合同会社の役員(=出資者)は「社員」といいます。

従業員を連想させる肩書のため、一般的には分かりにくいです。

代表者の肩書も「代表社員」となりますので、株式会社のように「代表取締役」を名乗ることはできません。

社員が対立すると会社運営が困難に

株式会社の場合、株主には出資金額に応じて議決権が付与されます。

一方、合同会社の社員には出資金額にかかわらず、原則一人一票の議決権があります。

合同会社にとっての重要事項に関する決議は、原則として社員全員の同意が必要になりますし、それ以外の業務執行に関する意思決定は、原則として社員の過半数の同意が必要となります。

したがって、社員が複数いる場合には、社員同士の意見の対立によって会社経営が滞るリスクがあります。

ただし、出資金額に応じた議決権数にするなど、決議の要件を定款に定めておくことでこのような事態を回避することは可能です。

まとめ

最近では設立コストの安さに着目し、起業する際、まずは個人事業主からスタートするのではなく、いきなり合同会社を設立するケースも増えています。

まずは合同会社で設立し、後に株式会社に組織変更することも可能です。

起業する際には、合同会社も選択肢の一つとして検討されてはいかがでしょうか。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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