会社を複数作る。そのメリット・デメリットまとめ

ポイント:会社を複数作る場合には、節税効果と増加コストを比較することが重要。


こんにちは。税理士の関田です。

前回は、会社を2社持つことで利益分散を図った場合の節税効果を検証しました。

⇒ 前回ブログ 『会社が2社あると節税になる?利益分散による節税効果を検証』

複数の会社を持つことによるメリットは他にもありますが、一方、もちろんデメリットも存在します。

会社を複数作るメリット

利益分散による節税効果がある

中小企業の場合、利益のうち一定額までは法人税等の軽減税率を使えますので、複数の会社で利益を分散できれば軽減税率を使える金額が増え、節税になります。

具体的にどのくらいの節税効果が期待できるのかは、前回のブログで検証していますのでご覧ください。

⇒ 前回ブログ 『会社が2社あると節税になる?利益分散による節税効果を検証』

交際費を経費にできる枠が広がる

中小企業の場合、原則として年間800万円までしか損金(経費)にできません

しかし、交際費をたくさん使う業種(不動産業、建設業など)では年間800万円を超えることも少なくありません。

もし会社が複数あれば、損金にできる交際費の金額が増えます

例えば、交際費を年間1,500万円使う場合、1社のみであれば、

「1,500万円-800万円=700万円」

損金不算入(経費にならない)となります。

しかし、もし2社で750万円ずつ使っていれば全額を損金にできます。

仮に法人税等の実効税率を30%とした場合、700万円を損金にできることで、

「700万円×30%=210万円」

の節税効果が出るということです。

交際費が多い業種の場合には、非常に大きな節税効果を発揮します。

新規設立から最大2年間は消費税が免税

会社を新しく作る場合、資本金1,000万円未満であれば、2期目までは消費税が免税となります。

ただし、1期目の当初6ヵ月間で「課税売上高」と「給与支払額」がどちらも1,000万円を超えている場合、2期目は課税事業者となりますので注意が必要です。

リスク分散になる

会社内で何か重大な問題が発生した場合、1社しかないと会社全体に影響が及んでしまいます。

複数社あれば、影響の広がりを抑えることができるというリスク分散効果を期待できます。

会社を複数作るデメリット

手間がかかる

会社が複数あると、下記のような手間が二重、三重にかかります

・書類の整理

・経理

・ホームページ運営

・税務申告手続き

・社会保険手続き

コストがかかる

会社が複数あると、まず税理士へ支払う報酬が増えます

また、上記のような事務作業が増えるため、余計に人を雇う必要が出てくるかもしれません。

税務調査の回数が増える

会社を経営していると税務調査を受ける可能性は常にありますが、会社が複数あれば税務調査を受ける回数も増えることになります。

また、会社間の取引に不自然な点が無いかを細かく調べられたり、利益の付け替えをしているのではないかと疑いを持たれたりすることもあります。

まとめ

会社を複数作る場合には、そのメリット・デメリットをよく比較検討することが重要です。

節税効果だけに目を奪われて会社を作ったが、人件費と税理士報酬でむしろマイナスだった、なんてことにならないよう注意しましょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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