建物の固定資産税・都市計画税の計算方法。新築住宅は軽減特例あり
ポイント:新築住宅については一定期間の固定資産税を2分の1に減額する特例あり。
こんにちは。税理士の関田です。
土地の次は、建物(家屋)の固定資産税・都市計画税の計算方法について確認したいと思います。
⇒ 前回ブログ 『土地の固定資産税・都市計画税の計算方法。住宅用地特例と負担調整措置とは?』
土地と比べると、かなりシンプルです。
目次
基本的な計算式
建物(家屋)の固定資産税・都市計画税は、
「課税標準額 × 税率」
で計算されます。
家屋の場合、「固定資産税評価額」がそのまま「課税標準額」となります。
固定資産税評価額の算出方法
家屋調査
家屋を新築・増改築すると、数か月以内に自治体の職員が家屋調査にやってきます。
家屋の図面など建築に関する書類と照らし合わせながら、家屋の中までくまなく見て回ります。
調査では、どのような資材・設備がどれだけ使用されているかを確認されます。
評価方法
家屋調査によりはじき出された「再建築費評点数」をベースに評価額を計算します。
「再建築費評点数」とは、その建物を再度建築した場合に必要な建築費を点数化したものです。
この「再建築費評点数」に、「建築後の経過年数に応じた補正率」や「物価水準に応じた補正率」などを乗じて計算したものが「固定資産税評価額」です。
新築時の固定資産税評価額は、おおよそ建築費の4割~6割程度になります。
家屋の評価額があまり下がらない理由
家屋の固定資産税評価額も土地と同様、3年に1度評価の見直し(評価替え)が行われます。
家屋は経年劣化するため「建築後の経過年数に応じた補正率」が加味されますが、同時に「物価水準に応じた補正率」も考慮されますので、近年のように建築資材価格が高騰している状況では思ったほど評価額が下がらないケースもあります。
また、「建築後の経過年数に応じた補正率」の下限は『2割』ですので、どんなに古い家屋でも新築時の評価額の2割程度までしか下がらないということになります。
課税標準額に税率を乗じて税額を計算
課税標準額(=固定資産税評価額)に税率をかければ税額が計算できます。
固定資産税の税率
固定資産税の標準税率は「1.4%」です。
標準税率とは、地方税法に規定されている通常の税率のことであり、自治体の条例によって上げ下げすることも可能ですが、多くの自治体では「1.4%」を採用しています。
都市計画税の税率
都市計画税の制限税率は「0.3%」です。
制限税率とは、これを超えてはいけないという税率であり、多くの自治体では「0.2%~0.3%」程度に設定しています。
具体例
・固定資産税評価額:1,500万円
・固定資産税の税率:1.4%
・都市計画税の税率:0.3%
だった場合の税額は下記のようになります。
<固定資産税>
15,000,000円 × 1.4% = 210,000円
<都市計画税>
15,000,000円 × 0.3% = 45,000円
新築住宅は固定資産税の軽減特例あり
新築住宅等については、新築から一定期間の固定資産税を軽減する特例があります。
現時点では2020年3月31日までに新築された住宅が対象です。
なお、都市計画税の軽減特例は原則ありませんが、自治体によっては条例により特例を設けている場合もあります。
新築住宅の特例
以下の床面積要件を満たす新築住宅については、新築後3年間(3階建以上の耐火・準耐火建築物は5年間)に限り、床面積1戸当たり120㎡までの部分について固定資産税が2分の1に軽減されます。
・戸建住宅又は賃貸用以外の集合住宅 … 住宅部分の床面積が1戸当たり50㎡以上280㎡以下
・賃貸用の集合住宅 … 住宅部分の床面積が1戸当たり40㎡以上280㎡以下
※集合住宅の場合、独立部分の床面積に共用部分の床面積を按分して加えた床面積
なお、店舗併用住宅の場合は、住宅部分の床面積が全体の2分の1以上であることが条件です。
また、ほとんどの自治体ではこの特例を受けるための手続きは不要です。
認定長期優良住宅の特例
認定長期優良住宅については、新築後5年間(3階建以上の耐火・準耐火建築物は7年間)に限り、床面積1戸当たり120㎡までの部分について固定資産税が2分の1に軽減されます。
床面積等の要件は新築住宅の特例と同様です
なお、この特例を受けるためには、新築した年の翌年(1月1日新築の場合は新築した年)の1月31日までに「減額申告書」と「認定通知書の写し」を自治体の資産税課に提出しなければなりません。
まとめ
繰り返しになりますが、今年は3年に1度の評価替えの年です。
ぜひ前年の課税明細書と見比べて、家屋の評価額がどのくらい下がっているか確認してみてください。
※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。
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