固定資産除却損の計上を忘れずに。幽霊資産が帳簿に残ってないか確認
ポイント:決算の時は固定資産台帳をきちんとチェックして、廃棄済みの資産があれば除却処理を忘れないようにしましょう。
こんにちは。税理士の関田です。
新規のお客様の固定資産台帳をチェックしていると、明らかに存在しないであろう資産が載っていることがよくあります。
20年前の複合機、15年前のパソコンなど…。
もちろん、処分した当時にきちんと処理していなかったことが原因ですが、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
目次
処分したはずの減価償却資産が帳簿に残っている訳
経理担当者の確認不足
会社の規模が小さければ、経理担当者は会社の状況をほぼすべて把握することができます。
しかし、会社がそこそこ大きな規模になり、部門ごとに分かれていたりすると、一経理担当者が各現場の状況をすべて把握することは困難になります。
その場合、経理担当者は各部門の責任者に除却資産の有無を確認する必要がありますが、これを怠ってしまい、既に存在しない減価償却資産が帳簿に残ったままになってしまうケースがあります。
税理士事務所の確認不足
会社に経理担当者がおらず、記帳を税理士事務所に任せている場合、税理士事務所の担当者が社長や責任者に対して除却資産の有無を確認しなければなりませんが、確認不足やミスコミュニケーションにより除却処理を失念してしまうケースがあります。
固定資産台帳の資産名が分かりづらい
除却したことは把握できているが、固定資産台帳上のどの資産なのかが分からず、仕方なくそのままになっているケースもあります。
資産名が単に「エアコン」「パソコン」などと表示されており、しかも同じような時期に取得したものが複数存在していると、どの資産が除却されたものなのか分かりません。
除却損を出したくなかった
対銀行上、少しでも数字を良く見せるため、社長などの意向により除却損をあえて計上しないケースもあります。
過年度の除却処理忘れに気づいた場合
決算作業をしていると、実は前期以前に除却すべきだった減価償却資産が帳簿に残っていることに気づくことがあります。
この場合、どうすべきでしょうか?
原則は過年度の申告をやり直し
「固定資産除却損」は、実際に除却した日の属する事業年度の損金に算入します。
したがって、過年度に処理を忘れていた場合には原則、その年度の申告をやり直す(更正の請求)ことになります。
すでに償却が終わっている資産であれば…
しかし、すでに減価償却が終わって簿価1円になっている資産の場合、除却処理しても税額にはほぼ影響ありません。
そのため、わざわざ過去の申告をやり直さず、気づいた年度に除却処理してしまっても、問題になるケースは少ないと思われます。
簿価がかなり残っている資産を除却した場合には当然、税務調査で問題になる可能性があります。
除却損の計上を忘れないためには
すでに廃棄した減価償却資産が帳簿に残っている、というような事態を防ぐためには、次の2点が重要です。
①決算時に固定資産台帳をきちんと確認
決算時には必ず、固定資産台帳に載っている「減価償却資産」と「現物」との突合せを行いましょう。
経理担当者と税理士事務所の担当者とのコミュニケーションも重要です。
②固定資産台帳に登録する資産名は明瞭に
新規に取得した減価償却資産を固定資産台帳に登録する際には、単に「複合機」「車両」といった資産名で登録せず、どの資産か明らかになるような資産名にしましょう。
複合機であれば「メーカー+型番+設置場所」、車両であれば「車種+ナンバー」といったように、どの資産を指しているのかが明らかであれば、後々除却などの処理をする際に役立ちます。
※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。
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