2019年度税制改正大綱を読む・その⑦。中小企業向けの法人税等の改正

こんにちは。税理士の関田です。

2019年度(平成31年度)税制改正大綱の重要項目解説、最後となる7回目は主に中小企業を対象とした法人課税に関する改正についてです。

中小企業の法人税の軽減税率の特例を2年延長

現在、中小法人(資本金1億円以下の法人)の法人税率は以下のようになっています。

<平成30年4月1日から平成31年3月31日までに開始する事業年度>

  • 所得金額年800万円以下の部分 … 15%
  • 所得金額年800万円超の部分 … 23.2%

年800万円以下の軽減税率対象部分については、本来は「19%」のところ、特例によってさらに「15%」に軽減されています。

今回の改正によりこの特例が2年延長され、2021年(平成33年)3月31日までに開始する事業年度については引き続き「15%」が適用されることになります。

中小企業投資促進税制を2年延長

中小企業投資促進税制とは、中小企業者が一定の設備投資(機械装置、ソフトウェアなどの取得)を行った場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除の適用を認める特例のことです。

⇒ 国税庁HP 『中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)』

2019年(平成31年)3月31日が適用期限とされていましたが、今回の改正により2年延長され、2021年(平成33年)3月31日までに取得し事業の用に供した対象設備について適用されることになります。

中小企業経営強化税制を2年延長

中小企業経営強化税制とは、中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けた中小企業者が一定の設備投資(機械装置、器具備品、建物附属設備、ソフトウェアなどの取得)を行った場合に、即時償却又は取得価額の7%(資本金3,000万円以下の法人は10%の税額控除の適用を認める特例のことです。

⇒ 国税庁HP 『中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)』

2019年(平成31年)3月31日が適用期限とされていましたが、今回の改正により2年延長され、2021年(平成33年)3月31日までに取得し事業の用に供した対象設備について適用されることになります。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制を2年延長

商業・サービス業・農林水産業活性化税制とは、認定経営革新等支援機関等から経営改善に関する指導及び助言を受けた中小企業者が一定の設備投資(器具備品、建物附属設備の取得)を行った場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除の適用を認める特例のことです。

⇒ 国税庁HP 『商業・サービス業・農林水産業活性化税制(特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額控除)』

2019年(平成31年)3月31日が適用期限とされていましたが、今回の改正により2年延長され、2021年(平成33年)3月31日までに取得し事業の用に供した対象設備について適用されることになります。

なお、2019年(平成31年)4月1日以後に取得する経営改善設備については、経営改善により売上高又は営業利益の伸び率が年2%以上となる見込みであることについて認定経営革新等支援機関等の確認を受けることが適用要件に加わります(経過措置として、同日前に交付を受けた経営改善指導助言書類に係る経営改善設備のうち同年9月30日までに取得したものについては上記の確認を受けることは不要)。

みなし大企業の範囲の見直しによる中小企業者の範囲縮小

上記の各種特別償却・税額控除の対象となる「中小企業者」の範囲が縮小されます。

中小企業者とは

中小企業者とは、次に掲げる法人のことをいいます。

  1.  資本金の額が1億円以下の法人(ただし、① 同一の大規模法人に発行済株式等の総数の2分の1以上を所有されている法人及び ② 2以上の大規模法人に発行済株式等の総数の3分の2以上を所有されている法人を除く
  2. 資本を有しない法人のうち従業員数が1,000人以下の法人

なお、上記a.のカッコ書きの「大規模法人」とは以下の法人のことを指します。

  • 資本金の額が1億円超の法人
  • 資本を有しない法人のうち従業員数が1,000人超の法人

 このような大企業に支配されている法人は”みなし大企業”と呼ばれ、たとえ資本金1億円以下の法人であっても中小企業向けの優遇税制は適用されません。

大規模法人の範囲が拡大

今回の改正により、「大規模法人」に次の法人が加わることになります。

  • 大法人(資本金5億円以上等の法人)の100%子法人
  • 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人

これにより、中小企業者の範囲がこれまでより縮小することになります。

<具体例>

大法人(資本金5億円) 

↓ 100%

子法人(資本金1億円)

↓ 100%

孫法人(資本金1,000万円) 

  改正前 改正案
子法人 中小企業者ではない 中小企業者ではない
孫法人 中小企業者に該当 中小企業者ではない

 ※ 子法人は改正後は「大規模法人」に該当するため、子法人に発行済株式等の2分の1以上を所有されている孫法人は「中小企業者」から外れる。

法人設立届出書の添付書類の省略

現状、新たに法人を設立した際に税務署へ提出する法人設立届出書には、

  • 定款等の写し
  • 株主又は出資者の名簿
  • 設立趣意書
  • 設立時の貸借対照表

を添付することになっていますが、改正後は「定款等の写し」のみを添付すればよいことになります。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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