2024年を振り返る。税理士業界10大ニュース

こんにちは。税理士の関田です。

今年もいよいよラストスパート。

年の瀬になってにわかに税制が世間の注目を集めておりますが、ひとまずこの1年の出来事を時系列で振り返りましょう。

2024年・税理士業界10大ニュース

改正電子帳簿保存法が全面施行

1月、2022年1月施行の改正電子帳簿保存法が2年間の猶予期間を経て完全施行となりました。

これ以降、「電子取引データ」のデータ保存が必須になったわけですが、実際のところ税務調査の現場ではどんな感じなのでしょうね?

こんな制度どうでもいいと一番思っているのは、実は現場の調査官だったりして。

国税の納付書送付が取りやめに

5月、e-Taxで電子申告している法人などに対する納付書の事前送付が取りやめとなりました。

おかげでその後、中間納税の納付漏れが続出する事態に(弊所の法人クライアントはもともと全社ダイレクト納税なので問題ありませんでしたが)。

来年からの申告書控えへの収受印廃止といい、最近の国税はやることが強引ですねぇ。。

相続税申告書の第11表様式が変更に

5月、相続税申告書第11表の改定様式が公表されました。

以前の様式では相続財産が延々と羅列されていましたが、財産の種類別に4つの付表ができ、これを合計表にまとめるかたちに。

ただ、税務ソフトベンダーはおろか、国税庁のe-Taxソフトですら9月下旬まで旧様式しか対応できておらず、年内は旧様式での提出も認められました。

定額減税がスタート

6月、あの”悪名高き”定額減税がスタートしました。

先日退任した第101代内閣総理大臣の置き土産。

我々税理士の減税事務はこの年末調整でひとまず終了ですが、自治体職員は減税しきれなかった人向けの調整給付がまだ残っていますね。

お察しします。

税理士法人がランサムウェアの被害に

7月、東京海上日動が税賠保険の損害査定業務を委託していた税理士法人のサーバーへランサムウェアによるサイバー攻撃が行われ、情報が漏洩した可能性があることが発表されました。

税務通信で税倍事例紹介の連載をもっているあの事務所ですね。

いや~恐ろしい。

財産評価基準書の誤りが発覚

8月、国税庁ホームページで公表している宅地造成費の金額に一部誤りがあったことが発表されました。

本来より低い金額で記載されていた(=過大評価になる)ため、誤った金額を適用した納税者に対しては減額更正を行うのだそう。

そんなこともあるんですね。

総則6項の適用をめぐる裁判で国側敗訴

8月、非上場株式の相続税評価に対する総則6項の適用をめぐる裁判で、国の敗訴が確定しました。

伝家の宝刀も時には折れる、と。

令和4年の最高裁判決は不動産評価(マンション節税)でしたし、今回の判決を受けても総則6項の運用方針はそのままとのことですので、相続に携わる税理士が否認リスクにビビりながらの実務を強いられることに変わりはありません。

経営セーフティ共済の解約後2年ルールがスタート

10月、経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)の税務上の取扱いが変更され、令和6年10月1日以降に解約後再加入した場合、解約日から2年間は掛金を経費(損金)にできなくなりました。

9月末までの駆け込み解約が増えるという話もありましたけど、実際のところどうだったんでしょうね。

この共済自体、「節税」ではなく「課税の繰り延べ」だから意味がないという専門家意見も目にしますが、解約のタイミングを上手くコントロールできる会社・業種であればそれなりに利用価値はあると個人的には思います。

「年収の壁」問題が浮上

10月、衆院選で与党が大敗、国民民主党が棚ぼたでキャスティングボートを握ってしまったことで、「年収の壁」問題が年末まで世間を賑わすことになりました。

まあ確かに、企業にはさかんに賃上げしろと言っておいて、税制はそのままというのはおかしな話です。

それにしても、「税金の壁」や「社会保険の壁」がそれぞれ複数存在し、さらに一部会社員には「家族手当の壁」まであるという複雑怪奇な仕組みを理解できている人間がどれほどいるのでしょうね。

いい加減なんとかしてもらいたいです。

税制改正大綱が遅れに遅れる

12月20日、与党税制改正大綱が例年よりだいぶ遅れてようやく決定されました。

遅れた原因はもちろん「年収の壁」の上げ方・上げ幅をめぐる与野党の議論。

例年であれば大綱の内容がそのまま改正へとつながるわけですが、今回は”とりあえずまとめた”感がありすぎて、予断を許しませんね。

これぞ、少数与党の悲哀。

まとめ

というわけで、最後は「年収の壁」問題がすべてをかっさらっていきました。

一応大綱を読んではみたものの、来春の改正法案可決までは紆余曲折ありそう。

少なくとも確定しているのは、年末調整事務が今後さらにヤバいものになる、ということですかね。

お目汚し失礼しました。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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