2019年度税制改正大綱を読む・その①。住宅ローン減税の拡充

ポイント:マイホームを消費税率10%で取得し、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合には、住宅ローン控除期間が「13年」に延長される。


こんにちは。税理士の関田です。

12月14日、政府与党から2019年度(平成31年度)の税制改正大綱が発表されました。

これからしばらく、税制改正大綱を読んで気になった点を実務に直結する内容に絞って解説していきたいと思います。

今回は住宅ローン減税の拡充についてです。

住宅ローン減税の拡充

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、個人が住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合などに、入居した年以降の所得税(所得税から引ききれない場合には住民税の一部)から住宅ローンの年末残高を基に計算した一定金額が控除される制度です。

現行制度

現状では、消費税率8%で住宅を取得した場合、年間で最大40万円(認定住宅の場合は50万円)、10年間の合計で最大400万円(認定住宅の場合は500万円)が所得税や住民税から控除されます。

<2014年1月1日から2021年12月31日までに入居> ※消費税率8%で取得

認定住宅以外の場合

  • 控除期間:10年
  • 各年の控除限度額:ローン年末残高(最大4,000万円)× 1%

認定住宅の場合

  • 控除期間:10年
  • 各年の控除限度額:ローン年末残高(最大5,000万円)× 1%

改正点

消費税率10%で住宅を取得し、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に入居した場合には、控除期間が10年から13年に延長されます。

なお、11年目以降は控除額の計算方法が変わり、「住宅ローン年末残高の1%」「建物購入価格(税抜)の2%を3等分した額」のいずれか少ない方の金額が控除されます。

つまり、11年目から13年目までの3年間合計で建物購入価格の2%(=消費増税分)を上限として減税される仕組みです。

<2019年10月1日から2020年12月31日までに入居> ※消費税率10%で取得

認定住宅以外の場合

  • 控除期間:13年
  • 各年の控除限度額
    • 1年目~10年目:ローン年末残高(最大4,000万円)× 1%
    • 11年目~13年目:次のうちいずれか少ない金額
      1. ローン年末残高(最大4,000万円)× 1%
      2. 建物購入価格(税抜・最大4,000万円)× 2% ÷ 3年

② 認定住宅の場合

  • 控除期間:13年
  • 各年の控除限度額
    • 1年目~10年目:ローン年末残高(最大5,000万円)× 1%
    • 11年目~13年目:次のうちいずれか少ない金額
      1. ローン年末残高(最大5,000万円)× 1%
      2. 建物購入価格(税抜・最大5,000万円)× 2% ÷ 3年

具体例

では、改正後の制度が適用される場合の11年目以降の控除額の計算を具体例で見てみましょう。

前提条件

  • 2019年7月に3,300万円(税抜3,000万円)で住宅の建築工事請負契約を締結
  • 2020年3月に完成し入居開始
  • 11年目から13年目の住宅ローン年末残高
    • 2030年12月末:2,100万円
    • 2031年12月末:2,000万円
    • 2032年12月末:1,900万円

11年目の控除額

  1.  2,100万円(ローン残高)× 1% = 21万円
  2.  3,000万円(建物購入価格)× 2% ÷ 3年 = 20万円

… a. > b. ∴ 20万円

12年目の控除額

  1.  2,000万円(ローン残高)× 1% = 20万円
  2.  3,000万円(建物購入価格)× 2% ÷ 3年 = 20万円

… a. = b. ∴ 20万円

13年目の控除額

  1.  1,900万円(ローン残高)× 1% = 19万円
  2.  3,000万円(建物購入価格)× 2% ÷ 3年 = 20万円

… a. < b. ∴ 19万円

まとめ

消費増税後の住宅購入支援策としては「住宅ローン減税の拡充」のほか、「すまい給付金の拡充」や「住宅取得資金贈与の非課税枠の拡充」も予定されています。

消費税が10%に上がるからといって焦って購入せず、まずは増税前と後で実質的な負担額がどう変わるのかを試算してみると良いでしょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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