先祖伝来の土地を建物と一括で売却。譲渡所得の取得費の計算方法は?

ポイント:土地については概算取得費(売却代金×5%)、建物については実額取得費(取得価額-償却費相当額)を使うことができる。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

主に相続等で取得した先祖伝来の土地など、買った値段がわからない不動産を売却した場合の譲渡所得の計算では、売却代金の5%を取得費とみなすことができます(概算取得費の特例)。

では、土地と建物を一括で売却した場合で、建物の取得価額だけ判明しているケースでは、取得費はどのように計算したらよいのでしょうか?

土地と建物の取得費は別々に計算できる

土地建物を一括して売却したケースで概算取得費(5%)の特例を使う場合、必ずしも売却代金全体の5%を取得費とする必要はありません。

建物について取得価額が判明している場合には、土地についてのみ概算取得費を適用し、建物については実額の取得費を適用することが可能です。

土地は概算取得費

先祖伝来の土地は取得費が分かりませんので、概算取得費を適用します。

つまり、

「 土地部分の売却代金 × 5% 」

が土地の取得費となります。

建物は実額取得費と概算取得費のいずれか有利な方

一方、建物については実額の取得費を適用することができます。

建物の取得費は、

「 当初の取得価額 - 償却費相当額 」

で計算しますが、事業用の場合と非事業用(主に自宅)の場合とでは”償却費相当額”の計算方法が異なります。

<償却費相当額>

①事業用建物の場合

取得時から売却時までの減価償却費の累計額

②非事業用建物の場合

取得価額  ×  0.9  ×  償却率 (※1)  ×  経過年数 (※2)

※1 法定耐用年数を1.5倍した年数(1年未満切捨)に応じた旧定額法償却率

※2 6ヵ月未満の端数は切捨、6ヵ月以上の端数は1年とする

※3 取得価額の95%を限度

なお、上記により計算した実額取得費が概算取得費(建物部分の売却代金×5%)よりも小さい場合には、実額によらず概算取得費を適用することも可能です(=いずれか有利な方を選択)。

具体例

前提条件

  • 2020年6月に自宅を5,000万円で売却(うち土地代金4,000万円、建物代金1,000万円)
  • 土地は先祖伝来のもので取得費不明
  • 建物は木造で2004年3月に2,000万円で新築
  • 譲渡費用は仲介手数料150万円のみ
  • 居住用の特別控除の要件を満たしている

土地の取得費

40,000,000円 × 5% = 2,000,000円

建物の取得費

20,000,000円 × 0.9 × 0.031(※1) × 16年(※2) = 8,928,000円

(※1)木造建物の耐用年数 22年 × 1.5 = 33年 … 0.031

(※2)2004年3月 ~ 2020年6月 … 16年(6月未満切捨)

20,000,000円 - 8,928,000円 = 11,072,000円

譲渡所得の計算

50,000,000円 -(2,000,000円 + 11,072,000円)- 1,500,000円 = 35,428,000円

35,428,000円 - 30,000,000円(居住用の特別控除)= 5,428,000円

売却代金の内訳が分からない場合は?

売買契約の中には、売買代金が「土地建物合計〇〇〇円」となっており、土地代金と建物代金の内訳が分からないものもあります。

内訳が明記されていなくても、例えば「うち消費税〇〇円」と記載があれば逆算して建物代金を計算できます(消費税は建物にしか課税されないため)が、そうでない場合は売主自らが合理的な方法で按分しなければなりません。

土地は概算取得費、建物は実額取得費を使う場合、土地代金を高くした方が取得費合計は増える(=譲渡所得は減る)ことにはなりますが、あくまで合理的に説明できる金額であることが前提となります。

ちなみに、以下のページは消費税に関するタックスアンサーではありますが、ご参考までにどうぞ。

⇒ 国税庁HP 『建物と土地を一括譲渡した場合の建物代金』


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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