任意継続の方は注意。4月分保険料を納める前に国保への切替の検討を

ポイント:国民健康保険料は4月分から前年所得ベースで計算される。任意継続より国保の方が有利となる場合は、保険料を期日までにあえて納めず資格喪失して国保へ切替え。


こんにちは。税理士の関田です。

サラリーマンが会社を退職して自営業・フリーランスになった場合、健康保険の選択肢としては主に「①国民健康保険」「②健康保険の任意継続」の2種類があります(ほかに、業種別の国民健康保険組合へ加入する場合や、家族の扶養に入る場合も)。

退職時には、この2つを比較していずれか有利な方(=保険料が安い方)を選ぶのが一般的ですが、もし国保の方が保険料が高いということで「任意継続」を選択していたとしても、4月になったら再度、どちらが有利になるか比較検討する必要があります。

国保も任意継続も4月分から保険料が変わる?

4月になると、「国民健康保険」も「任意継続」も保険料が変わる可能性があります。

特に大きく変わるのは国民健康保険の方です。

国民健康保険の場合

国民健康保険料は毎年「4月~翌年3月」を1年度として計算されるのですが、その年度の保険料は前年(1月~12月)分の所得をもとに決定します。

つまり、3月までの保険料は前々年分の所得をベースに、4月からの保険料は前年分の所得をベースに計算されるわけです。

したがって、前々年よりも前年の方が所得が多ければ4月分からの保険料は増えますし、逆に前年の方が所得が少なければ4月分からの保険料は減ることになります。

任意継続の場合

任意継続の健康保険料についてはほとんどの場合、

  • 退職時の標準報酬月額
  • 協会けんぽ・健康保険組合が定める標準報酬月額(上限)

のいずれか低い方をベースに計算され、基本的には2年間固定です。

ただし年によっては、4月から標準報酬月額の上限や保険料率の見直しが行われる場合もありますので注意が必要です。

<参考>

協会けんぽの平成31年4月分からの任意継続保険料の変更

①標準報酬月額の上限

平成31年3月分まで … 28万円

平成31年4月分から … 30万円

②保険料率

平成31年3月分まで … 標準報酬月額 × 9.63%~10.61%

平成31年4月分から … 標準報酬月額 × 9.63%~10.75%

国民健康保険への切替え手続き

4月以降の保険料を試算した結果、もし任意継続よりも国保の方が有利になった場合には、任意継続から国保への切替え手続きを行います。

手続き①:任意継続被保険者資格喪失

まずは、任意継続被保険者資格の喪失手続きを行います。

といっても、わざわざこちらから協会・組合へ連絡する必要はなく、納付期限(毎月10日)までに保険料を納付しないことで自動的に資格喪失という形をとるのが一般的です。

後日、協会・組合から「資格喪失通知書」が送付される一方、保険証は返却することになります。

なお、納付期限の翌日(11日)が資格喪失日となりますので、10日までは従来の保険証が使えますが、11日以降に医療機関へかかった場合は、国民健康保険の保険証が交付されるまでは一旦、窓口10割負担となります(のちに返金)。

手続き②:国民健康保険加入

協会・組合から「資格喪失通知書」が届きましたら、通知書を持参のうえ、お住まいの市区町村で国民健康保険の加入手続きを行います。

なお、加入手続きが可能となるのは資格喪失日以降(最短でも11日から)となります。

まとめ

4月以降の国民健康保険料については、前年の確定申告書などを基に市区町村の担当窓口で試算してもらうことも可能ですが、下記のようなサイトで簡単な試算を行うこともできます。

⇒ 国民健康保険計算機

組合によっては独自の給付を受けられる場合もあり、国保の方が保険料が安いからといって必ずしも切り替えたほうが有利とは限りませんが、少なくとも試算だけはしてみるべきでしょう。

もし間に合わず、4月分の保険料を既に納めてしまった場合でも、もちろん5月から切り替えることは可能です。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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