譲渡所得の所有期間と資本的支出。リフォームした建物の短期長期判定

ポイント:建物の売却前5年以内に資本的支出に該当する改築・リフォーム工事を行っていたとしても、譲渡所得における所有期間は「当初取得日~売却年の1月1日」で判定。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

土地や建物を売却して利益(譲渡所得)が出る場合、売却した不動産をどのくらいの期間所有していたのかが重要となります。

所有期間が「5年」を超えるかどうかによって、譲渡所得に適用される税率が大きく異なるためです。

では、売却した建物について直近で大規模なリフォームを行っていた場合、その建物の所有期間はどのように考えたら良いのでしょうか?

短期譲渡と長期譲渡

売却した年の1月1日現在の所有期間で判定

税務上、売却した不動産の所有期間は次のように考えます。

所有期間 … 取得した日  ~  売却した年の1月1日

売却した年の1月1日現在で所有期間が5年以下であれば「短期譲渡」5年超であれば「長期譲渡」に分類されます。

たとえば、2014年4月1日に取得した不動産を2019年10月1日に売却した場合、実際の所有期間は5年6ヵ月ですが、2019年1月1日現在の所有期間は4年9ヵ月のため「短期譲渡」と判定されてしまいます。 

短期譲渡・長期譲渡の税率

不動産の売却代金から取得費譲渡費用を差し引いて譲渡益が出た場合、この譲渡益は他の所得(給与所得や事業所得など)と合算せず、単体で税金を計算します(これを「分離課税」といいます)。

「短期譲渡」と「長期譲渡」の税率はそれぞれ次のとおりです(軽減税率が適用されない通常の譲渡の場合)。

  • 短期譲渡 … 39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
  • 長期譲渡 … 20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

資本的支出を行った建物の所有期間

5年以内の資本的支出は短期譲渡?

建物について改築・リフォーム工事を行った場合、その工事のうち建物の資産価値を増加させたり、あるいは使用可能年数を延長させるような部分については税務上、新たな資産を取得したものとして取り扱われます(これを「資本的支出」といいます)。

ここで、ひとつ疑問が生じます。

譲渡所得の計算上、「当初に取得した建物」と「取得後に行った資本的支出」については”取得した日”を分けて考える必要があるのでしょうか?

たとえば、建築後22年(耐用年数)を経過した木造アパートについて2年前にリフォーム工事を行っており、300万円を資本的支出として資産計上していた場合、建物本体の簿価(未償却残高)は1円ですが、資本的支出についてはまだ簿価が300万円弱残っているはずです。

このような建物を売却した場合でも、建物全体の取得時期を”当初の取得日”と考え、すべて「長期譲渡」に該当するものと判定して問題ないのでしょうか?

あくまで建物の取得日で判定

これについては、租税特別措置法通達に答えが載っています。

措通31・32共-6(改良、改造等があった土地建物等の所有期間の判定)

その取得後改良、改造等を行った土地建物等について措置法第31条第2項に規定する所有期間を判定する場合における同項に規定する「その取得をした日」は、その改良、改造等の時期にかかわらず、当該土地建物等の取得をした日によるものとする。

つまり、建物の当初取得日から売却年の1月1日現在までの所有期間が5年超であれば、もし売却直前に資本的支出に該当するリフォームを行っていたとしても、譲渡所得の全額が「長期譲渡所得」に該当することになります。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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