居住用財産の譲渡申告忘れ。申告期限後でも3,000万円控除は使える?

ポイント:無申告だった場合、期限後申告書で3,000万円控除の特例を使うことは可能。一方、特例を使わずに確定申告書を提出していた場合は原則として適用不可。


こんにちは。税理士の関田です。

マイホームの売却ではほとんどの場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」という特例が使えますので、もし売却益が生じた(=買った金額より高く売れた)としても、結果的に税金がかからないケースはよくあります。

とはいえ、税金が出ないからといって、何もしなくていいわけではありません。

この特例は、確定申告をすることによって初めて使える特例だからです。

では、もし確定申告を忘れたまま申告期限を過ぎてしまった場合はどうなるのでしょうか?

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除とは?

まずは簡単に、特例の内容のおさらいを。

自らが居住していた不動産を売却した場合で一定の要件を満たすときは、譲渡所得から3,000万円を控除することができます。

つまり、売却益が3,000万円以下であれば譲渡税は一切かからないということ。

しかも、所有期間に関わらず(たとえ1年しか持っていなくても)適用できるという、実に使い勝手のいい特例です。

細かな適用要件については今回のメインテーマではありませんので、以下のページでご確認ください。

⇒ 国税庁タックスアンサー 『マイホームを売った時の特例』

期限内に確定申告していなかった場合

マイホームの売却は、普段は確定申告をしていない給与所得者や年金受給者でも行うことがありますので、うっかり確定申告を忘れてしまった、というケースも少なくありません。

ですが、ご安心ください。

居住用財産の3,000万円控除の特例は、申告期限を過ぎた後に確定申告を行った場合でも適用可能です。

申告を忘れていた場合は慌てずに、期限後申告書を税務署に提出しましょう。

確定申告書は提出したが特例の適用を忘れていた場合

では、申告期限内に確定申告は行ったものの、居住用財産の3,000万円控除の特例を適用していなかった場合はどうでしょう?

実は、3,000万円控除の特例には「当初申告要件」というものが存在します。

「当初申告要件」とは、最初に出した申告書でその特例を使っている限りは適用を認める、というものです。

そもそも無申告だった先のケースでは、期限後申告書が「最初に出した申告書」ですので問題ありません。

一方、特例を適用せずに一度確定申告書を提出してしまっていると、その後に修正申告や更正の請求で特例を適用することは原則として認められません

もっとも、当初の申告で適用しなかったことについて「やむをえない事情がある」と税務署長が認める場合には適用できる(措法35条12項)とされていますが、これはレアケースと考えるべきでしょう。

単純な適用忘れの場合は、認められない可能性が大です。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

当事務所のサービスメニュー・料金について

当事務所では、法人・個人事業主の「税務顧問業務」のほか、相続税申告・贈与税申告・譲渡所得税申告といった「資産税業務」を専門に行っております。
初回のご面談は無料です(単発の税務相談・コンサルティングを除く)。
オンラインでのビデオ面談もお受けしております。