忘れていませんか?所得控除・その②。配偶者控除・扶養控除

ポイント:ひとり暮らしの親がいる場合は扶養に入れられるかどうか要確認。


こんにちは。税理士の関田です。

忘れやすい所得控除、前回のブログでは寡婦(寡夫)控除について解説しました。

⇒ 前回ブログ 『忘れていませんか?所得控除・その①。寡婦控除・寡夫控除

次に適用漏れが多い所得控除が、配偶者(特別)控除・扶養控除です。

実際に配偶者や子どもがいるのに忘れるわけがないと思われるかもしれませんが、「控除できると思っていなかった」「うっかり忘れてた」というケースが意外と多いのです。

配偶者(特別)控除とは

配偶者控除とは

広く知られている所得控除のため、ここでは詳細はご説明しません。

詳しくは国税庁ホームページでご確認ください。

⇒ 国税庁HP 『配偶者控除』

簡単にいうと、配偶者の所得が38万円以下であれば、本人の所得から38万円(配偶者が70歳以上であれば48万円)を差し引くことで所得税を安くできる制度です。

配偶者特別控除とは

配偶者の所得が「38万円超76万円未満」のときは、配偶者控除は受けられませんが、一定の要件に該当すれば、配偶者の所得金額に応じて一定金額を本人の所得から差し引くことで所得税を安くできる制度です。

税制改正により、平成30年以降は配偶者の所得要件が「38万円超123万円以下」に拡大されます。

詳しくは国税庁ホームページでご確認ください。

⇒ 国税庁HP 『配偶者特別控除』

扶養控除とは

こちらも広く知られている所得控除のため、詳細は省略します。

⇒ 国税庁HP 『扶養控除』

簡単にいうと、同一生計の16歳以上の親族の所得が38万円以下であれば、本人の所得から扶養親族1人あたり「38万円~63万円」を差し引くことで所得税を安くできる制度です。

配偶者(特別)控除・扶養控除を忘れやすいケース

たまたま事業所得・不動産所得が大幅に減った場合

家計を担っている個人事業主・不動産オーナーで、例年は黒字にもかかわらず、何かのきっかけ(賃貸アパートの大規模修繕など)でたまたま所得が38万円以下になることがあります。

このような方は、普段は扶養に「入れる側」のため、自らの所得が38万円以下になったときに自分が他の親族の扶養に「入れてもらえる」という意識が薄くなっています。

しかし、例えば同居している配偶者や子どもが働いていて収入がある場合には、当然配偶者や子どもの扶養に入れてもらうことが可能です(扶養されているという意識はなくても)。

ただし、自らの所得が38万円以下になったことが判明するのは確定申告時期になることが多いため、配偶者や子どもが給与所得者の場合には、年末調整での控除は間に合いません。

その場合、配偶者や子どもは扶養控除を受けるために確定申告をして、税金を還付してもらうことになります。

非常に忘れやすいため、要注意です。

離れて暮らす親族がいる場合

扶養親族として控除の対象になるのは、納税者と「生計を一にしている」親族です。

「生計を一にしている」とは、同じ財布で生活している=家計が一緒という意味で、同居している場合にはほぼ間違いなく同一生計として認められます(実際には家計が別であっても)。

しかし、別居している親族であっても、生活費を援助している場合には同一生計と認められることがあります。

よくあるのは単身赴任中のサラリーマンの家族や下宿している大学生ですが、この場合には扶養に入れ忘れることは通常ありません。

忘れがちなのは、離れて暮らす収入の少ない親や兄弟姉妹に生活費を援助している場合です。

特に、一人暮らしの親で主に遺族年金で生活している場合には、遺族年金は非課税ですので所得が38万円以下の可能性大です。

もちろん生活費を援助しているという実態があることが条件ですが、もし毎月仕送りをしている場合には、忘れずに扶養控除を受けましょう。

控除し忘れていることに気づいたら

もし過年度の確定申告又は年末調整で控除漏れが発覚した場合、申告期限から5年間は税務署へ「更正の請求」又は「還付申告」をして税金を還付してもらうことができます。

なお、別居親族を扶養に入れる場合には生活費等の援助の実態が問われる場合がありますので、現金で渡さず振込みにして、お金の流れが通帳などで明らかになるようにしておきましょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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