アパートの建物を子どもへ贈与。相続時に貸家建付地評価をするには?

ポイント:贈与する前に不動産管理会社が一括借上しておけば、相続時に確実に「貸家建付地」の評価減を受けられる。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

アパマン経営をされている地主の方が、建物が古くなり固定資産税評価額の低い物件やローンの返済が終わった物件について、建物だけを子どもや孫に贈与することがあります。

不動産所得が多く税率の高い方は、税率の安い子どもや孫に所得を移転させることで「所得税」の対策になりますし、また家賃収入(現金)の蓄積を防ぐことで「相続税」の対策にもなります。

さて、建物だけを贈与する場合には、相続時の土地の評価額への影響も考慮する必要があります。

賃貸アパート・マンションの敷地の相続税評価

「土地:親」「建物:親」の場合

土地・建物ともに親名義の場合、親が亡くなったときの土地の相続税評価は、いわゆる「貸家建付地」としての評価となります。

貸家の入居者は賃貸借契約に基づく借家権及びその敷地の利用権を有しており、オーナーはその土地の利用・処分を制限されるため、評価額を減額してもらえるということです。

「貸家建付地」の評価額は、

「 土地の自用地評価額 ×( 1 - 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合 ) 」

で計算します。

<具体例>

  • 自用地評価額 5,000万円
  • 借地権割合:70%(地域により異なる)
  • 借家権割合:30%(全国共通)
  • 賃貸割合:100%

→ 5,000万円 ×( 1 - 70% × 30% × 100% )= 3,950万円

「土地:親」「建物:子」の場合

親名義の土地の上に子ども名義の貸家が建っている場合、通常は地代(土地の使用料)のやり取りは行いません。

このように、親族間で無償にて土地の貸し借りを行うことを「使用貸借」といいます(土地の固定資産税相当額程度の地代の授受があっても使用貸借とみなします)。

この場合、土地の借主である子どもには借地権のような強い権利がなく、貸主である親はいつでも子どもに土地の返還を求めることが可能であることから、その土地の利用・処分にほとんど制限がないと考えられます。

したがって、使用貸借により貸している土地については「自用地評価額」がそのまま相続税評価額となります(上記の例では『5,000万円』で評価)。

建物のみを子どもに贈与した場合の土地評価の例外

土地・建物ともに親名義の貸家について、建物だけを子どもに贈与し土地は使用貸借とした場合、土地の相続税評価額については原則、上記の通り「自用地評価額」となりますが、例外的に「貸家建付地」として評価できるケースがあります。

贈与前からの入居者との契約が継続している場合

贈与前から賃貸借契約を結んでおり、子どもに贈与した後も契約を継続している入居者については、契約当初から借家権とともにその敷地の利用権を有しており、その権利は建物の所有者が変わった後も継続していると考えられます。

したがって、このような場合には引き続きその土地の利用・処分に制限があるため、「貸家建付地」として評価することになります。

贈与前からの入居者との契約が解除された場合

贈与前からの入居者について、贈与後に賃貸借契約が解除となった場合には、入居者が有していた借家権及びその敷地の利用権は消滅します。

その後新たに契約する入居者は、子どもが親と使用貸借契約している土地上の建物を賃借することになり、入居者と土地所有者である親との間には権利関係が発生しません。

したがって、贈与前からの賃貸借契約が解除された後は、原則通り「自用地」として評価することになります。

不動産管理会社を活用すれば「貸家建付地」評価を継続できる

入居者が贈与後も契約を継続してくれるかどうかは、オーナー側ではコントロールできません。

贈与直後に相続が発生すれば「貸家建付地」として評価できるかもしれませんが、相続が何年・何十年も先の話となると、その間に入居者が入れ替わってしまい、「自用地」評価となってしまう可能性高まります。

そこで、同族の不動産管理会社が贈与前に親から建物を一括借上(サブリース)しておくという方法があります。

<賃貸借契約の流れ>

建物所有者(親→子) ⇔ 不動産管理会社 ⇔ 各入居者

この場合、建物所有者との賃貸借契約の相手は不動産管理会社のみとなり、入居者は不動産管理会社と賃貸借契約を結ぶことになります。

建物贈与後も不動産管理会社との一括借上契約を継続しておけば、相続までの間に入居者が何度入れ替わったとしても、建物の借主である不動産管理会社の有する借家権及びその敷地の利用権は継続しているため、その土地は「貸家建付地」として評価することができます。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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