納税者敗訴。高齢者の不動産投資による相続税の節税策は否認リスクも

こんにちは。税理士の関田です。

先週、相続実務家の間で注目されていた裁判の判決が出ました。

翌朝の日経新聞の一面にも載っていたくらいなので、ご存じの方も多いかと思いますが。

事件の概要は、相続開始直前に借入金により高額なマンションを2棟購入し、通達評価(土地は路線価、建物は固定資産税評価額)により購入価格よりも大幅に低い評価額で申告(→相続税ゼロ)したところ、評価額が低すぎるとして国税から否認(→約3億円の追徴課税)され、納得できない納税者が裁判を起こしていた、というもの。

一審・二審ともに国税側が勝訴したものの、最高裁判決を前に口頭弁論が開かれたことで「これはもしや・・・」と関係業界をザワつかせましたが。。

結果、上告棄却。

とんだ肩透かしに終わりました。

実務家としては、納税者側が全面敗訴したことよりも、俗に”伝家の宝刀”といわれる総則6項(評価の例外規定)の適用が公に認められながら、その発動基準が明確化されなかったのが辛いところです。

「租税負担の公平に反するというべき事情」があるかどうかを、納税者側が判断して申告せよ、と?

今回の事件は、マンション投資が明らかに節税を意図して行われたものと認められて(融資の際の稟議書まで調べられて)通達評価が否認されたわけですが、今後もし同じような事例に当たったらどうすればいいんですかね。

そりゃ、90歳を超えた資産家が借入して高額な不動産を買っていれば、節税目的と考えるのが普通でしょう。

否認リスクにおびえながらもあくまで通達評価でいくのか、それとも鑑定評価をとって(もしくは購入価格ベースで)申告するのか・・・。

通達評価額が現在の不動産マーケットにおける取引価格とかけ離れてしまっていることにより、本来は財産評価を簡便化・公平化することが目的であるはずの評価通達が逆に評価実務を混乱させてしまうという現状。

今回の事件でもし国税側が一部でも負けていれば通達改正の動きもあり得たでしょうが、それも望み薄になってしまいました。

もっとも、国税にとっては、ヘタに改正するより「抑止力」として持っておいた方が何かと都合がいいのかもしれませんが。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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