人件費を使った節税策。給与と社会保険料は未払計上しよう

ポイント:締め日が月末以外の従業員給与は日割り額を未払計上できる。また社会保険料は少なくとも1ヵ月分を未払計上できる。


こんにちは。税理士の関田です。

会社の決算において、期末時点での未払費用をできる限り計上するのは節税策の王道です。

人件費でも活用できますので、少しでも利益を圧縮したい場合には漏れなく計上しましょう。

給与の未払計上

締め日が月末以外の従業員給与

給与の締め日は会社によって様々です。

月末締めの会社もありますが、多いのは「15日締め・25日払い」「20日締め・25日払い」あたりでしょうか。

「月末締め・翌月払い」の給与を未払計上し忘れることはあまりないかと思いますが、月末締め以外の給与の「締め日~決算日」までの日割り分も未払計上することが可能です。

例えば、

・6月決算法人

・給与が「15日締め・25日払い」

・7/25に支給する従業員給与(計算対象期間:6/16~7/15)が合計300万円

の場合、6/16~6/30分の給与にあたる

「 300万円 × 15日/30日 = 150万円 」

を未払費用として計上することができます。

役員報酬は未払計上できない

役員と会社との関係は雇用契約ではなく委任契約のため、役員報酬には日割りという概念がありません。

従業員給与と同じタイミングで支給する会社が多いかと思いますが、役員報酬の未払計上はできませんので気を付けましょう。

ただし、使用人兼務役員(役員兼従業員)の使用人分の給与は未払計上可能です。

社会保険料の未払計上

社会保険料は当月分を翌月に支払いますので、必ず1ヵ月分が未払になります。

また社会保険料を口座引落にしている会社では、決算日が土日の場合、引落が翌月1日や2日になるため、2ヵ月分が未払になることもあります

例えば、

・6月決算法人

・社会保険料は口座引落

・6月30日が日曜日

の場合、

  1. 5月分の社会保険料(7/1引落)
  2. 6月分の社会保険料(7/31引落)

の2ヵ月分を未払費用として計上することができます。

ただし、未払計上できるのは会社負担分だけですので注意してください。

決算賞与の未払計上

決算賞与を未払計上するという節税策もありますが、こちらは決算日までに準備が必要なため、決算作業段階では間に合いません

決算賞与の未払計上については、以前に詳しくご説明していますのでこちらをご参照ください。

⇒ 過去ブログ 『決算賞与と社会保険料。どちらも未払計上可能?』

ポイントは、一定の要件を満たせば未払の決算賞与を経費にできるものの、未払の決算賞与にかかる社会保険料までは未払計上できないということです。

もちろん、決算日までに支払済みの決算賞与にかかる社会保険料については未払計上できます。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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