被相続人の準確定申告の注意点まとめ②。給与・配当・雑・譲渡所得編

こんにちは、川越市の税理士・関田です。

全5回にわたってお送りする準確定申告シリーズ。

⇒ 第1回 『被相続人の準確定申告の注意点まとめ①。事業所得・不動産所得編』

2回目となる今回は、「給与所得」「配当所得」「雑所得」「譲渡所得」に関する留意点についてです。

給与所得

準確定申告において被相続人の給与所得として課税されるのは、その年1月1日から亡くなった日までに支給期が到来した給与です。

たとえば、給与が毎月15日締め・25日払いの会社に勤務していたとします。

この場合、もし5月20日に死亡したとすると、被相続人の給与所得となるのは4月25日に支給された給与までです。

では、亡くなった後に支給期が到来する給与(4/16~5/20分)はどうなるかというと、こちらは未収金として相続税の課税対象となります(所得税は源泉徴収されません)。

会社から相続人へ交付される給与所得の源泉徴収票には生前に支給期が到来していた給与の金額が記載されているはずですが、もし死亡後に支給期の到来した分まで含まれている場合には会社に修正してもらう必要があります。

配当所得

準確定申告において被相続人の配当所得として課税されるのは、その年1月1日から亡くなった日までに効力の発生した配当です。

配当の効力発生日は一般的に、株主総会の決議日を指します。

つまり、

  • 1月1日から相続開始日までの間に株主総会で決議された配当 → 被相続人の配当所得
  • 相続開始日の翌日以降に株主総会で決議された配当 → 相続人の配当所得

ということになります。

ちなみに、相続税上は、「配当基準日(決算日)の翌日から株主総会決議日までの間」に亡くなった場合には『配当期待権』を、また「株主総会決議日の翌日から配当金受取日までの間」に亡くなった場合には『未収配当金』を相続財産として計上する必要があります(いずれも源泉所得税控除後の手取り額で評価)。

雑所得(公的年金等)

準確定申告において被相続人の雑所得として課税される公的年金は、その年1月1日から亡くなった日までに支払われた年金です。

公的年金は2か月に一度、偶数月の15日に「前々月・前月分」が支給される後払い形式ですので、年金受給者が死亡すると相続開始日においてまだ受け取っていない年金(未支給年金)が必ず発生することになりますが、これはすべて相続人の「一時所得」として取り扱われます(相続財産にはなりません)。

⇒ 過去ブログ 『未支給年金は相続財産ではなく一時所得。死亡後に振込まれた場合は?』

なお、公的年金の死亡手続きを行うと後日、準確定申告用の源泉徴収票が送られてきますが、送付まで時間がかかる場合もありますので、準確定申告書の提出期限が迫っている場合には最寄りの年金事務所へ連絡しましょう。

譲渡所得(不動産)

不動産の譲渡所得については、不動産の引渡日に譲渡があったものとして申告するのが原則ですが、売買契約の効力発生日(一般的には契約締結日)に譲渡があったものとして申告することも認められています。

したがって、売買契約日後、引渡し前に相続が発生した場合、

  • 準確定申告において被相続人の譲渡所得として申告(契約日ベース)
  • 相続人の譲渡所得として申告(引渡日ベース)

いずれかを選択することができます。

なお、被相続人の譲渡所得として申告した場合、住民税が課税されずに済む(長期譲渡の場合:5%、短期譲渡の場合:9%)ほか、相続税の計算上、譲渡所得税を債務として控除できるというメリットがあります。

一方、相続人の譲渡所得として申告した場合には、支払った相続税の一部を譲渡所得の経費にできるというメリットがあります(相続税額の取得費加算特例)。

売買契約中に相続が発生したケースでは、どちらの所得として申告した方が納税額が少なく済むのか、慎重に検討する必要があるでしょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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