家庭用財産の相続税評価の実務。家財一式の評価額の相場は?

ポイント:一般的な家庭用財産については、一括して概算で『5万円~30万円』程度で評価。自動車や高額な貴金属・宝石・美術品等については個別評価が必要。


こんにちは。税理士の関田です。

相続税申告の対象となる相続財産というと、不動産や金融資産といった大きな財産が頭に浮かぶかと思いますが、家庭内にある家具・家電製品・衣類・バッグ・貴金属なども、被相続人が購入したものであればすべて立派な相続財産です。

とはいえ、これらを一個ずつ評価していくことは現実的ではありません。

今回は、家庭用財産の相続税評価の実務についてお話します。

家庭用財産は「一般動産」として評価

家具・家電などの家庭用財産は、財産評価上は「一般動産」というカテゴリーに入ります。

一般動産については、原則として1個ごとに評価することとされていますが、1個あたりの価額が5万円以下のものについては一括して評価することが可能です。

5万円以下というと、「では5万円超のものはすべて個別評価が必要なの?」と思われるかもしれませんが、ほとんどの動産は購入後すぐに大きく値下がりしますので、よほど高価なものでない限り個別評価は不要です。

家財一式の相続税評価額の相場

個別評価が必要となる高価なものを除き、一般的な家庭用財産については概算で『家財一式 〇〇円』として相続財産に計上します。

では、具体的にいくら位の金額で載せておけばいいのでしょうか?

特に基準があるわけではありませんが、実務上は『5万円~30万円』程度を計上するのが一般的であり、その家庭の状況を勘案して決定します。

たとえば、1人暮らしで自宅にあまり物が無い状況であれば5万円程度でも問題ないでしょうし、自宅が広く物がたくさんあるような状況であれば20~30万円程度は載せておいたほうが良いかも…といった具合です。

個別に時価評価すべきもの

以下のような財産については「家財一式」には含めず、個別に時価評価することになります。

自動車・バイク

自動車やバイクについては、ディーラーや中古車販売業者に買取価格を査定してもらうのが一般的ですが、インターネットでおおよその相場を調べることもできます。

もちろん、相続開始直後に自動車等を売却している場合には実際の売却価格で評価して問題ありません。

また、新車価格から減価償却費相当額を控除した価格(未償却残高)で評価することもできます。

貴金属・宝石

金やプラチナなどの相場のある貴金属については、亡くなった日現在の貴金属業者の買取価格をもとに評価します。

買取価格は貴金属業者に問い合わせれば教えてもらえますが、業者のホームページで価格情報を調べることも可能です。

また、高額な宝石類については、宝石買取業者に買取価格を査定してもらうとよいでしょう(相続開始直後に売却している場合には、実際の売却価格で評価してOK)。

書画・骨董

書画や骨董などの美術品のうち高額なものは、古美術商などの鑑定人に鑑定価格を出してもらいましょう。

なお、購入直後に相続が開始した場合には購入価格をもとに、また相続開始直後に売却した場合には売却価格をもとに評価することも可能です。

まとめ

家財一式の評価額自体はそれほど大きなものではありませんが、申告書に載っているか否かで調査官に与える印象はかなり異なります。

『家財が計上されていない』→『いい加減な申告書』→『他にも計上漏れがあるかも』という心証を持たれかねないからです。

たとえ少額でも、きちんと載せておくことが重要となります。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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