2023年を振り返る。税理士業界10大ニュース
こんにちは。税理士の関田です。
今年も最後は「業界十大ニュース」で締めくくり。
良くも悪くも(悪の方がほとんどですけど)税金が世間の注目を集めた1年を時系列で振り返ります。
目次
2023年・税理士業界10大ニュース
GMOあおぞらネット銀行がダイレクト納付に対応
4月、GMOあおぞらネット銀行がインターネット専業銀行としては初めてダイレクト納付への対応を開始しました。
ここ最近、設立したばかりの会社は銀行口座の開設が難しく、まずはネット銀行からというケースが多いのでこの流れはありがたい!
と思っていたら、今のところ追随するネット銀行が皆無。
楽天、住信SBIあたりが対応してくれないとなぁ。。
信託型ストックオプションの給与課税問題が浮上
5月、国税庁が「ストックオプションに対する課税(Q&A)」を公表し、信託型ストックオプション(SO)の権利行使時に生じた経済的利益は給与所得に該当すると明らかにしました。
譲渡所得なら税率20%なのに、給与所得だと最大55%。
税制適格SOに該当することを前提に導入していたベンチャー系企業にとってはさぞ衝撃だったことでしょう。
まちの税理士にとっては対岸の火事。
ジャニーズ事務所の事業承継税制適用が発覚
9月、ジャニーズ性加害問題の余波で、ジュリー氏が故ジャニー氏から承継した株式について事業承継税制を適用していたことが発覚しました。
正当な手続きにより納税猶予を受けているだけで違法な「相続税逃れ」をしているわけではないのですが、仕組みを知らない人からするとネガティブな印象を受けてしまうのかも。
結局、ジュリー氏は代表から退任し、納税猶予が打ち切られた相続税を全額支払うという方向で進んでいるようですが、あの「860億円」という金額は一体どこから出てきたのでしょうか?
ふるさと納税のルール改正で駆け込み寄付が急増
9月、ふるさと納税の返礼品のコストルールが10月から改正されることに伴い、駆け込み寄付が急増しました。
おかげで、いつもなら2~3週間で我が家に届くはずのお米が2か月近くかかりましたよ。
10月以降、同じ返礼品に対する最低寄付額の設定は1割~2割ほど上がっている印象です。
インボイス制度がスタート
10月、ついにインボイス制度がスタートしました。
「消費税の仕組み上はこれが本来あるべき姿だ」と言われればそれまでですが、こんなにも手間とコストをかけさせておいて税収増がたったの年2,480億円というのが泣けてきます。
タワーマンションの評価見直しが決定
10月、区分所有マンションの新評価通達が公表されました。
タワーマンションの高層階購入による相続税の節税に一定の歯止めがかかると思われますが、時価の6割程度まで評価が引き上げられるということですので、逆に言えば4割程度は評価圧縮の余地が残るということでもあります。
ちなみに、昨年話題になった総則6項による否認案件は1棟買いマンションのため、本通達の対象外。
新評価は令和6年1月1日以降の相続・遺贈または贈与について適用されます。
定額減税を打ち出して内閣支持率急落
11月、岸田首相が国民1人当たり4万円の定額減税策を打ち出したにもかかわらず、内閣支持率が急落するという展開に。
単に給付金として配っておけばいいものを、よくもこんな面倒な減税手続きに仕上げてくれました。
近年稀にみる愚策、とでも申し上げておきましょう。
財務副大臣が税金滞納で辞任
11月、自民党の神田憲次財務副大臣が自身の会社で固定資産税などを滞納し、差し押さえまで受けていたことが発覚し、副大臣を辞任しました。
国会議員に倫理観なんてものを期待することが間違っているわけで、最初は「あーまたか」ぐらいにしか思いませんでしたが、後にこの人が税理士であることを知ってびっくり。
今年の漢字が「税」に
12月、今年の世相を表す漢字に「税」が選ばれました。
別に嬉しくも何ともないです。
会計・税務ソフトの値上げラッシュ
物価高はこの業界でも。
弥生会計もマネーフォワードもfreeeも、一般シェアの高い会計ソフトは軒並み値上げされました。
もちろん、税務ソフトも。
インボイス導入による開発費用が価格に跳ね返っていることは言うまでもありません。
そんな中、会計事務所の弥生PAP年会費だけはお値段据え置きの良心価格で安心していたところ、先日、大幅値上げの通知メールが ((((;゚Д゚))))
まとめ
今年いろんな方から言われたのが、「インボイス制度が始ると、税理士さんも仕事が増えてウハウハじゃないですか?」というもの。
でも実際のところは、「インボイス制度が始まったせいで、面倒な作業が増えたけど報酬はそう簡単には上げられない」と嘆いている税理士が大半。
そこに追い打ちをかけるように、今度は定額減税ですか。
お願いだから、来年1回限りにしてね。
※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。
当事務所のサービスメニュー・料金について
初回のご面談は無料です(単発の税務相談・コンサルティングを除く)。
オンラインでのビデオ面談もお受けしております。