自宅を譲渡した場合の軽減税率の特例。相続した物件の所有期間は?

ポイント:所有期間10年超のマイホームの譲渡所得に対する税率は通常よりも約6%軽減される。相続で取得した物件は被相続人の所有期間も含めて10年を超えればOK。
こんにちは。税理士の関田です。
マイホームを売却して利益が出た場合の譲渡所得の申告では、3,000万円の特別控除のほかに、軽減税率の特例も適用できます。
これら2つの特例は併用が認められていますので、売却益が3,000万円を超える場合には、超えた部分について軽減税率を適用することが可能というわけです。
さて、所有期間を問わない3,000万円控除の特例と違い、軽減税率の特例には「所有期間10年超」という要件がありますが、相続により取得したマイホームを売却した場合の所有期間はどのように考えたら良いのでしょうか?
居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例とは?
売却した年の1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産(家屋、家屋+敷地、家屋取壊し後の敷地)を売却した場合で一定の要件を満たすときは、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分に対して軽減税率を適用できます。
【譲渡所得のうち6,000万円以下の部分に対する税率】
所得税 10.21% + 住民税 4% = 14.21%(軽減税率)
【譲渡所得のうち6,000万円超の部分に対する税率】
所得税 15.315% + 住民税 5% = 20.315%(通常の税率)
家屋と敷地はともに所有期間が10年を超えていなければなりませんので、敷地の所有期間が10年を超えていても、建て替えなどにより家屋の所有期間が10年を超えていなければ軽減税率の特例は適用できません。
また勘違いされやすいのですが、10年を超えていなければいけないのは「所有期間」だけで、「居住期間」は10年以下でも適用可能です(居住期間の要件があるのは”買換え”特例)。
相続で取得したマイホームの所有期間の考え方
では、相続で取得したマイホームを売却した場合、軽減税率の特例を適用できる「所有期間10年超」という要件はどのように考えたら良いのでしょうか?
通常の譲渡所得では、売却した年の1月1日における所有期間が5年以下のものを「短期譲渡」、5年超のものを「長期譲渡」に区分して譲渡税を計算しますが、相続で取得した物件であれば被相続人の所有期間も含めて判定します。
相続の場合は被相続人の”取得時期”と”取得費”を相続人に引き継ぐのが原則なのです。
この考え方は居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例でも同じで、被相続人の所有期間も含めて10年を超えるかどうかで判定することになります。
たとえば、夫が15年前に購入したマイホームに夫婦2人で居住していて、夫の死から1年後、相続した妻が老人ホームへ入居するためマイホームを売却した場合、妻自身の所有期間は1年ですが被相続人(夫)との通算所有期間は16年となるため、3,000万円控除後の譲渡所得に対して軽減税率を適用することができます。
まとめ
近年の不動産価格の高騰により、都心ではマイホームの売却益が3,000万円を超えることも珍しくなくなりました。
「3,000万円控除」の特例と比べると知名度の低い「軽減税率」の特例ですが、約6%の税率差は非常に大きいですので、要件を満たす場合は忘れずに適用しましょう。
※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。
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