被相続人の準確定申告の注意点まとめ④。税額計算編

こんにちは。税理士の関田です。

全5回にわたってお送りする準確定申告シリーズ。

⇒ 第1回 『被相続人の準確定申告の注意点まとめ①。事業所得・不動産所得編』

⇒ 第2回 『被相続人の準確定申告の注意点まとめ②。給与・配当・雑・譲渡所得編』

⇒ 第3回 『被相続人の準確定申告の注意点まとめ③。所得控除編』

4回目となる今回は、税額計算に関する留意点についてです。

税額控除

住宅ローン控除

被相続人が住宅ローン控除の適用を受けていた場合、亡くなった日まで引き続き居住していれば、準確定申告においても住宅ローン控除の適用を受けることが可能です。

ところで、住宅ローンを組む際には多くの場合、団体信用生命保険(団信)に加入することになります。

団信に加入していた方が亡くなると、後日、保険会社が金融機関にローン残高を支払うことでローンが消滅するため、準確定申告で住宅ローン控除を受けられるのかどうか疑問が生じるところです。

しかしながら、亡くなった年の住宅ローン控除についてはあくまで死亡日時点での住宅借入金残高が控除対象となりますので、団信に加入していた場合でも住宅ローン控除は適用できるものと思われます。

寄附金税額控除

被相続人が1月1日から亡くなった日までに支払った寄附金のうち、以下のものについては寄附金控除(所得控除)に代えて税額控除の適用を受けることが可能です。

準確定申告の際には、所得控除と税額控除のどちらが有利になるのか判定して適用することになりますが、一般的には税額控除の方が有利になるケースが多いかと思われます。

予定納税額の取扱い

予定納税とは

前年分の申告納税額など(予定納税基準額)が15万円以上の場合には、その年の所得税の一部を前払いしなければなりません。

これを「予定納税」といいます。

予定納税は、7月11月の2期に分けて、それぞれ予定納税基準額の3分の1ずつを納めることになっています。

年の中途で亡くなった場合の予定納税

予定納税額を納付すべき居住者であるかどうかは、その年6月30日を経過するときの現況により判定することとされています。

6月30日以前に死亡した場合

6月30日以前に亡くなった場合、その年の予定納税の義務はなくなることになります。

もし生前に予定納税額の通知書が届いていたとしても(6月中旬)、予定納税を行う必要はありませんので、税務署へ連絡して予定納税額の通知を取り消してもらいます。

なお、準確定申告書の「予定納税額」欄については空欄でOKです。

7月1日以降に死亡した場合

7月1日以降に亡くなった場合には、その年の予定納税の義務が生じることになり、亡くなった時点でまだ納めていない税額については相続人が納税義務を承継します。

被相続人が振替納税を行っていた場合、預金口座凍結後に口座振替日(7/31・11/30)が到来すると振替ができませんので、税務署へ連絡して納付書を送ってもらいましょう。

準確定申告書の「予定納税額」欄については、申告書提出時において納付が済んでいるかどうかに関わらず、1期分と2期分の合計額を記載します。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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