早すぎる償却資産税の申告期限。せめて2月末にしてくれませんかね?

こんにちは。税理士の関田です。

今日から2月。

いよいよ確定申告シーズン突入!なわけですが、その前に今日は、法人と一部の個人事業主が1月中に作成しなければいけない書類の提出期限日でもあります(1月31日が日曜だったので)。

その書類とは、法定調書合計表、給与支払報告書、そして償却資産申告書のこと。

仕事柄、よく「2月~3月は繁忙期で大変でしょ?」と言われますが、実際にはこれらの書類作成に追われる1月から(もっといえば、12月の年末調整シーズンから)すでに忙しくなっているのです。

まあ繁忙期アピールはともかく、これらの書類の中でも、毎年モヤモヤさせられるのが償却資産申告書。

なんせ申告期限が早すぎるんですよ。

1月末までに正しい償却資産申告書を作ることはできる?

償却資産申告というと、税務申告の中でも、法人税や所得税の確定申告と比べて”格落ち感”は否めません(ここ最近は課税が強化されてきていますが)。

なのに申告期限は他の税目と比べて明らかに短い、わずか1ヵ月。

「単に1月1日現在で所有している事業用資産を申告するだけだから、1ヵ月もあれば十分だろ?」ということなのでしょうが、そう簡単ではないケースも多いのです。

きっちりと月次決算を行っている会社であれば、まだ何とかなるかもしれません。

しかし、年一決算法人や個人事業主の場合、1月中に前年12月末までの帳簿が完成していることは稀。

結果、増減資産の確認が間に合わず、とりあえず「増減なし」で提出したものの、実は新規取得資産や除却資産があったことが後になって発覚する、というのが”償却資産あるある”のひとつ。

では、帳簿はともかく、増減資産がすべて把握できていれば問題ないのかというと、必ずしもそうではありません。

たとえば、10万円以上20万円未満の新規取得資産について、

  • 一括償却資産(3年均等償却)として処理した場合 … 申告対象外
  • 少額減価償却資産(全額償却)として処理した場合 … 申告対象

というルールがあるのですが、どちらで処理するのかを1月末までに決めるのが難しいケースもあります。

償却資産申告の段階では「少額減価償却」で行こうと思って申告対象にしたものの、決算・確定申告の段になってから利益調整の関係でやっぱり「一括償却」にしようということになり、結果的に申告不要の資産を申告してしまっていた、というのもよくあるパターン。

他にも例を挙げればキリがありませんが、このように当初の申告が間違っていたにもかかわらず、その後に正しい申告書を出し直さない事務所もあるので(ひどい話!)、「固定資産台帳」と「償却資産課税台帳」が合っていないケースが結構多いのです。

紙の申告書を出していた時代はよかったのですが、最近は償却資産も電子申告が普及してきているので、台帳の整合性が取れていないと非常に厄介。

この傾向は、月次決算を行わないことの多い個人事業主に顕著です。

だいたい、確定申告の資料は2月になってから預かることが多いですからね。

だからこそ、申告期限はせめて、確定申告作業がある程度進んでいる2月末(いや、あわよくば3月15日)まで延ばしませんか?

そもそも、みんな1月末までにきちんと提出しているのか?

だったらいっそ、多少申告期限を過ぎてからでも正しい申告書を出した方が良いのでは?と思われる方もいるでしょう。

そのとおり。

実のところ、償却資産申告書は期限に間に合わなくても、多少の遅れであればペナルティーはまずありません(遅くとも3月中には出した方が良いと思いますが)。

なので、税務申告を本職とする税理士事務所でさえ、

「期限は期限だから、何がなんでも1月末までに提出する」

という”原理主義系”事務所もあれば、

「個人の確定申告が終わってから、3月下旬くらいに出せばいいよね」

という”ゆる系”事務所もあるのが実情です。

だいたい、当の役所側でさえ、みんながみんな1月末までに申告してくれるとは考えていない節があります(勝手な憶測ですけど)。

まとめ

弊所でも、やむなく2月以降に償却資産申告書を提出することはあります。

合っているかどうか分からない申告書を提出して、もし間違っていたら後で修正する、というのが一番面倒ですからね。

まあペナルティがないとはいえ、期限後申告の後ろめたさが全くないわけでもないので、ここはひとつ、申告期限の再考を望みます。

ちなみに、合計表や給報についても確定申告明けに出している事務所があるとかないとか。。(ウチはちゃんと1月中に出してますけどね!)


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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