Google広告費用・AdSense収入と消費税。2019年4月以降は注意

ポイント:Google広告費用は2019年4月より国内取引となり、消費税の課税対象に。一方、Google AdSense収入は引き続き国外取引として消費税の対象外。


こんにちは。税理士の関田です。

今年の春先、Google広告を利用している事業者やAdSense収入を得ているブロガー・ユーチューバーの間で、対Google社の消費税の取扱いがにわかに注目を集めました。

というのも、2019年3月、Google社よりGoogle広告利用者に対し「2019年4月からは広告料が消費税の課税対象になる」旨のメールが送られたからです。

今後迎える法人の決算や2019年分の確定申告では、改めて対Google社の消費税問題が注目を集めると思われますので、ここで今一度、取扱いを整理しておきましょう。

Google広告・Google AdSenseとは?

Google広告

Google広告とは、Googleのプラットフォームを通じて広告主が自社や商品をアピールできるサービスのことです。

主な種類として、

  • 検索広告(キーワード検索の際に上位に表示されるリスティング広告など)
  • ディスプレイ広告(ウェブサイトやブログに表示されるバナー広告など)
  • 動画広告(YouTube再生の冒頭や途中で流される動画など)

があります。

広告主には『1クリック(1再生)〇円』として広告料が課金される仕組みです。

なお、以前は「Google AdWords(グーグルアドワーズ)」という名前で知られていましたが、現在は「Google Ads(グーグル広告)」と呼ばれています。

Google AdSense

Google AdSense(グーグルアドセンス)とは、ウェブサイトやブログの運営者が広告を掲載したり、YouTubeのチャンネル開設者が自らの動画に広告を付けることで収入を得られるサービスのことです。

AdSense利用者には『1クリック(1再生)〇円』として広告収入が入る仕組みとなっており、Google広告とは「対」をなすサービスとなります。

億単位を稼ぎ出す人気YouTuberが得ているのも、このAdSense収入です。

Google広告費用に対する消費税の取扱い

2019年3月以前

2019年3月31日までは、Google広告の契約先は「Google Asia Pacific Pte. Ltd. 」というシンガポールの法人でした。

このため、Google広告は国外事業者による「事業者向け電気通信利用役務の提供」として、リバースチャージ方式の対象とされていました。

⇒ 国税庁HP 『国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について』

ただし、リバースチャージ方式による申告が必要なのは現状、『一般課税(原則課税)方式』かつ『課税売上割合95%未満』の場合のみとされています。

したがって、非課税売上の多い不動産業などを除く大半の事業者は、Google広告費用を消費税の「不課税仕入」として処理することができました。

2019年4月以降

ところが、2019年3月、GoogleからGoogle広告のアカウント保有者に対し、

  • 2019年4月1日をもって、Google広告アカウントに関する契約を「Google Asia Pacific Pte. Ltd. 」から「グーグル合同会社」へ譲渡する
  • Google広告費用には、2019年4月1日より消費税が課税される

旨のメールが送られました。

新たな契約先となる「グーグル合同会社」は日本法人なので、Google広告は国内取引として消費税の課税対象となるということです。

これまで多くの会社・個人事業主が「不課税仕入」として処理してきたGoogle広告費用ですが、2019年4月からは「課税仕入」とされ仕入税額控除の対象となりますので、経理担当の方はくれぐれもご注意ください。

Google AdSense収入に対する消費税の取扱い

Google広告費用が2019年4月より消費税の課税対象となったことで、AdSense収入についても課税売上になるのでは?と見る向きもありました。

しかしながら、現状、Google AdSenseアカウントの契約先は外国法人である「Google Asia Pacific Pte. Ltd. 」のままとされています(2019年9月現在)。

つまり、AdSenseは引き続き国外取引となりますので、消費税は「不課税売上」のままでOKです。

まとめ

当面の間、Google AdSense収入は消費税の課税対象外が継続となり、これまで消費税を納めずに済んできた人気ブロガーやYouTuberはホッと胸を撫でおろしていることでしょう。

とはいえ、天下のGoogleがやることですから、いつ契約主体が変更になるかは分かりません。

くれぐれも油断は禁物です。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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