行政書士報酬からは源泉徴収が不要。士業の報酬と源泉所得税について

ポイント:源泉徴収の対象となる「士業」は法令で限定列挙されている。行政書士はその中に含まれていないため、源泉徴収は不要。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

弁護士や司法書士など、いわゆる”士業”からの報酬の請求書には「源泉所得税額」という項目が設けられています(我々税理士も)。

ところが、同じ士業であるにも関わらず、行政書士報酬の請求書には「源泉所得税額」の記載がありません。

なぜ行政書士の報酬は源泉徴収が不要なのでしょうか?

士業の報酬に対する源泉徴収の仕組みについて整理してみました。

士業の報酬で源泉徴収が必要となるケース

士業の報酬だからといって、どんな場合でも源泉徴収が必要になるわけではありません。

たとえば、一般の方が弁護士のところへ法律相談に行って相談料を払ったとしても、そこから源泉所得税を徴収して税務署へ納める、なんてことはしませんよね?

士業の報酬で源泉徴収が必要になるのは、以下の2つの要件のいずれにも当てはまる場合です。

  1. 支払側が、法人もしくは源泉徴収義務のある個人であること
  2. 受取側が、源泉徴収の対象となる個人の士業であること

まず支払う側については、「源泉徴収義務のない個人」であれば源泉徴収は不要です。

「源泉徴収義務のない個人」とは、簡単に言えば「従業員などに給与を支払っていない人」のことで、個人事業主でない方はもちろんのこと、個人事業主であっても人を雇っていないフリーランスなどは源泉徴収の必要がありません。

次に受け取る側についてですが、あくまで「個人」の士業が対象ですので、弁護士法人や税理士法人など、法人化している場合には源泉徴収は不要です。

源泉徴収の対象となる士業とは

上記の要件を満たしていれば、基本的には源泉徴収が必要になりますが、例外もあります。

というのも、源泉徴収の対象となる士業は法令で限定列挙されており、そこに含まれない士業はそもそも源泉徴収の対象とならないからです。

~ 源泉徴収の対象となる士業 ~

弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士、計理士、会計士補、企業診断員、測量士補、建築代理士、不動産鑑定士補、火災損害鑑定人、自動車等損害鑑定人、技術士補

(所得税法204条1項2号、所得税法施行令320条2項)

ご覧いただいてわかるとおり、世の中のほとんどの士業が挙げられているなか、なぜか行政書士は含まれていません(不思議ですよね)。

これが、行政書士報酬から源泉徴収を行う必要がない理由です。

源泉徴収税額の計算も職種により異なる

士業の報酬に対する源泉徴収税額(所得税+復興特別所得税)は原則として、以下の算式により計算します。

① 支払金額が100万円以下の場合 ※司法書士等以外

支払金額 × 10.21%

② 支払金額が100万円超の場合 ※司法書士等以外

( 支払金額 - 100万円 )× 20.42% + 102,100円

ただし、「司法書士・土地家屋調査士・海事代理士」の報酬については、算式が少し異なります。

③ 司法書士等の報酬の場合

( 支払金額 - 1万円 )× 10.21%

したがって、司法書士等の報酬が1万円以下の場合、源泉徴収税額はゼロとなります。

源泉徴収税額の納期限は?

士業の報酬から源泉徴収した所得税・復興特別所得税は、原則として翌月10日までに納付しなければなりません。

ただし、「源泉所得税の納期の特例」の適用を受けている事業者については、給与にかかる源泉所得税と同様、

  • 1~6月支払分 … 7月10日まで
  • 7~12月支払分 … 翌年1月20日まで

にそれぞれ納付すれば良いこととなっています。

報酬分の源泉所得税は納付を忘れやすい(決算や確定申告の際に納付漏れに気づくことが多い)ので気を付けましょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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