不動産貸付業と個人事業税。課税対象となる貸付規模とは?

ポイント:一定規模以上の不動産貸付業のみ個人事業税が課税されるが、課税対象となる貸付規模の基準は各都道府県により異なる。


こんにちは。税理士の関田です。

個人で不動産賃貸を行っている場合、ある程度の規模になると個人事業税が課税されるようになりますが、「課税対象となる・ならない」の基準は意外と知られていないのではないでしょうか?

個人事業税の課税対象となる「不動産貸付業」の認定基準について調べてみました。

不動産貸付業に対する個人事業税の計算

個人事業税とは、文字通り「個人が営む事業」に対して課税される税金で、都道府県が課税主体となる地方税の一種です。

課税対象となる事業を第1種~第3種に区分し、課税所得に対してそれぞれ定められた税率(3%~5%)を乗じて計算しますが、「不動産貸付業」は第1種事業に該当し税率は「5%」です。

不動産貸付業の個人事業税の計算式(青色申告の場合)

( 不動産所得 + 青色申告特別控除額 - 事業主控除290万円 )× 5%

課税所得はあくまで不動産所得がベースになりますが、所得税とは異なり「青色申告特別控除」は使えません(なので不動産所得に加算)。

一方、「事業主控除」として290万円を差し引くことができますので、青色申告特別控除前の不動産所得が290万円以下であれば個人事業税は課税されないことになります。

ただし、事業主控除は1年間で290万円ですので、年の途中で開業・廃業した場合には事業を行っていた月数で按分することになります。

個人事業税が課税される不動産貸付業の基準

青色申告特別控除前の不動産所得が290万円を超えるからといって、必ずしも個人事業税が課税されるわけではありません。

個人事業税上の「不動産貸付業」に該当すると認定されて初めて課税されることになるのです。

おおよその認定基準

個人事業税の課税対象となる「不動産貸付業」については明確な規定が存在するわけではありませんが、平成22年に総務大臣が出した『地方税法の施行に関する取扱通知(道府県税関係)』には以下の記載があります。

不動産貸付業とは、継続して、対価の取得を目的として、不動産の貸付け(地上権又は永小作権の設定によるものを含む。)を行う事業をいうものであること。

なお、不動産貸付業に該当するかどうかの認定に当たっては、所得税の取扱いを参考とするとともに次の諸点に留意すること。

ア  アパート、貸間等の一戸建住宅以外の住宅の貸付けを行っている場合においては居住の用に供するために独立的に区画された一の部分の数が、一戸建住宅の貸付けを行っている場合においては住宅の棟数が、それぞれ10以上であるものについては、不動産貸付業と認定すべきものであること。

イ  住宅用土地の貸付けを行っている場合においては、貸付け契約件数(一の契約において2画地以上の土地を貸付けている場合はそれぞれを1件とする。) が10件以上又は貸付総面積が2千平方メートル以上であるものについては、不動産貸付業と認定すべきものであること。

ウ  一戸建住宅とこれ以外の住宅の貸付け又は住宅と住宅用土地の貸付けを併せて行っている場合等については、ア又はイとの均衡を考慮して取り扱うことが適当であること。

※地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)第3章2の1(3)(平成22年4月1日総税都第16号)

「所得税の取扱いを参考とする」となってはいるものの、「ア~ウ」の留意点を読む限り、所得税上65万円の青色申告特別控除が受けられる『事業的規模』要件(いわゆる”5棟10室基準”)とは少し異なるようです。

したがって、『事業的規模』には該当しなくても個人事業税が課税されるケースがある一方、『事業的規模』に該当しても個人事業税が課税されないケースも存在することになります。

都道府県ごとに独自の基準あり

課税上は上記の基準をベースに各都道府県がそれぞれの基準を設定していますので、詳細は各都道府県のホームページ等で確認するとよいでしょう。

ご参考までに、東京都と埼玉県の認定基準が掲載されているページをご紹介しておきます。

⇒ 東京都主税局HP 『不動産貸付業と駐車場業の認定基準』

⇒ 埼玉県HP 『不動産貸付業・駐車場業の認定基準について』


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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