弁護士費用の経費計上時期とは。着手金・成功報酬はいつ時点の経費?

ポイント:「着手金」は報酬の「内金」ではなく、あくまで支払った時点で経費となる。「成功報酬」は委任業務が終了した時点で経費に計上。


こんにちは。税理士の関田です。

訴訟大国であるアメリカをはじめとした欧米諸国と比べると、和を重んじる(?)日本では訴訟件数はそれほど多くはないものの、揉め事が裁判にまで発展するケースは徐々に増えてきているようです。

裁判ともなると、大半の人は弁護士に代理を依頼することになりますが、弁護士費用の支払いについては他の士業とは違う独特の慣習があります。

今回は、依頼人である法人や個人事業主側の視点から、支払った弁護士費用をどの時点で経費にできるのかについて解説します。

弁護士費用の種類

顧問契約などで定期的に支払の発生する費用を除き、何らかの事件を弁護士に依頼する場合には、大まかに以下の2種類の費用が発生します。

着手金

着手金とは、弁護士に事件を依頼するときに支払われる費用です。

裁判の結果として依頼人が敗訴した場合、あるいは裁判の途中で弁護士を解任した場合であっても、着手金が依頼人に返金されることは基本的にありません

よく着手金を「手付金」や「内金」のようなものと勘違いしているケースがありますが、着手金には弁護士報酬の前払い的な性格はないとされています。

報酬金

報酬金とは、事件が解決したときに支払われる費用です。

金額が事件解決の成功度合いに応じて決まることから、一般的には「成功報酬」と呼ばれています。

弁護士費用はいつ時点の経費か?

着手金の経費計上時期

前述の通り、着手金は裁判の結果に関わらず返金されないものですから、委任時点で既に債務が確定しているといえますし、また報酬金の前払いにも該当しません。

したがって、着手金は支払った日(正確に言えば、委任契約が成立した日)に経費計上することになります。

報酬金の経費計上時期

一方、成功報酬については、事件が解決した段階で初めて報酬額が決定(=債務が確定)します。

つまり、成功報酬の経費計上時期は、委任業務が終了した日ということになります。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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