新築した建物の相続税評価。固定資産税評価額が付いていない場合は?

ポイント:相続税の申告期限までに固定資産税評価額が付されていればその評価額でOK。間に合わない場合には原則、再建築価額から償却費を控除した金額の70%で評価。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

相続税の計算上、相続財産の中に建物がある場合にはその建物の「固定資産税評価額×1.0」、つまり固定資産税評価額そのままで評価することになっています(貸家の場合には3割を減額)。

しかし中には、新築直後の場合など、固定資産税評価額がわからないケースもあります。

今回は、固定資産税評価額の付されていない建物がある場合の相続税評価の方法を解説します。

新築建物の固定資産税評価額はいつ決まるのか?

建物を新築すると、1~2ヶ月後には自治体の固定資産税担当の職員が家屋調査にやってきます。

この家屋調査により「再建築費評点数」というものを算出し、これに各種補正率を乗じて固定資産税評価額を計算するわけですが、確定した固定資産税評価額の証明書を取得できるのは新築した年の翌年4月以降です。

したがって、建物が完成してから固定資産税評価額が分かるまでには早くても4ヵ月遅いと1年以上かかることになります。

そこで、もし相続開始時点で固定資産税評価額が判明していない場合には、その建物をどのように評価すべきかという問題が生じます。

固定資産税評価額が付されていない建物の評価方法

相続開始時点でまだ固定資産税評価額が付いていない建物については、次の手順で評価を行います。

①申告期限までに固定資産税評価額が付された場合

もし相続開始後、相続税の申告期限までの間に固定資産税評価額が付された場合には、その固定資産税評価額を基に評価して差し支えありません。

②近隣の類似した建物の固定資産税評価額を基に評価

申告期限までに固定資産税評価額が付されていない場合には、付近にあるその建物の状況と類似した建物の固定資産税評価額を基に、その付近の建物との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額により評価することとされています。

ただし実際には、そんな都合のいい建物が付近に存在することはそうそうありませんので、この方法あまり現実的ではないでしょう。

③その建物の再建築価額を基に評価

申告期限までに固定資産税評価額が付されておらず、また付近に類似した建物もない場合には、その建物の再建築価額から相続開始時までの償却費相当額を控除し、これに70%を乗じた金額で評価します。

なお、「償却費相当額」は再建築価額に0.9を乗じ、さらにその建物の構造に応じた耐用年数のうちに占める経過年数(1年未満の端数は1年とする)の割合を乗じて計算します。

<具体例>

  • 建築費:4,840万円(再建築価額も同額とする)
  • 耐用年数:22年
  • 新築日:X1年2月28日
  • 相続開始日:X1年5月10日

4840万円 × 0.9 × 1年/22年 = 198万円(償却費相当額)

( 4840万円 - 198万円 )× 70% = 3249.4万円

実際の評価額が申告額より低かった場合、更正の請求できる?

固定資産税評価額は一般的に建築費の40%~60%程度になるケースが多いため、上記の再建築価額ベースで計算した評価額よりも低くなる可能性が高いです。

このため、再建築価額ベースで評価して申告したものの、その後付された固定資産税評価額が申告額よりもかなり低かった(=相続税を払い過ぎた)、というケースも十分に考えられます。

このような場合、更正の請求により相続税を還付してもらえないかと考えるところですが、更正の請求は相続税の計算に誤りがあった場合に認められているものであり、再建築価額ベースによる評価自体は計算の誤りではないため、還付は認められない可能性が高いと思われます。

したがって、相続税を無駄に納め過ぎることがないよう、なるべく固定資産税評価額に近い金額で評価・申告する努力(自治体に「再建築費評点数」を教えてもらうなど)が必要になります。

なお、不動産取得税が課税される建物の場合、不動産取得税の納税通知書に課税標準額(=固定資産税評価額)が記載されているケースが多いため、もし申告期限までに納税通知書が届いていればこれを参考にするとよいでしょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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