不動産業と消費税の簡易課税制度。不動産=第6種事業とは限らない

ポイント:不動産販売業は第1種・第2種・第3種事業に該当する可能性あり。不動産仲介業、管理業、賃貸業は第6種事業。なお、自ら使用する固定資産の売却は第4種事業。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

原則として2年前の課税売上高が5,000万円以下の場合にだけ適用できる、消費税の簡易課税制度。

仕入に係る消費税を分類・集計する手間が省けるほか、原則課税よりも納税額が安く済むケースも多いため、小規模事業者には重宝されている制度です。

簡易課税では売上を6種類の事業区分に分ける必要があり、基本的には「この業種なら第〇種」と分類できるのですが、なかには一つの業種で複数の事業区分に該当するケースもあるため、各売上ごとの事業区分の判断が重要になります。

今回は、特に複数の事業区分の売上が生じやすい「不動産業」について簡易課税を適用する場合の注意点を解説します。

簡易課税制度の仕組みと6つの事業区分

簡易課税の仕組み

会社や個人事業主が国に納める消費税は、「売上とともに預かった消費税」から「仕入・経費とともに支払った消費税」控除して計算します(原則課税方式)。

<具体例①>

  • 年間の課税売上:2,160万円(うち消費税160万円)
  • 年間の課税仕入:1,620万円(うち消費税120万円)

原則課税の納税額 … 160万円 - 120万円 = 40万円 

しかし、仕入・経費には消費税のかかるものとかからないものがあり、これを売上規模の小さい事業者が分類・集計するのは大変です。

そこで、基準期間(2年前)の課税売上高が5,000万円以下の課税事業者については、あらかじめ税務署に届出書を提出していること等を条件に、簡便的な計算方法を認めています(簡易課税方式)。

具体的には、「課税売上にかかる消費税」は集計しなければならないものの、そこから控除する「課税仕入にかかる消費税」については実際にいくら支払ったかに関わらず、「課税売上にかかる消費税」に対して一定割合を支払ったものとみなして納税額を計算します。

この”一定割合”のことを「みなし仕入率」といい、事業の種類に応じて6つに区分されています。

<具体例②>

  • 上記の事例で、簡易課税制度を選択しており、みなし仕入率が80%の場合

簡易課税の納税額 … 160万円 - 160万円 × 80% = 32万円 

6つの事業区分とみなし仕入率

現在、簡易課税制度においては事業内容・形態に応じて6種類に事業を区分するとともに、それぞれのみなし仕入率を定めています。

  • 第1種事業(卸売業) … 90%
  • 第2種事業(小売業) … 80%
  • 第3種事業(農業、建設業、製造業、電気業、ガス業など) … 70%
  • 第4種事業(飲食業など、第1~3・5・6種以外の事業) … 60%
  • 第5種事業(運輸通信業、金融・保険業、サービス業など) … 50%
  • 第6種事業(不動産業) … 40%

不動産業の売上の事業区分

「不動産業=第6種事業」と思われがちですが、不動産業をもっと細かく分けると不動産販売業、不動産仲介業、不動産管理業、不動産賃貸業などがあり、これらの業種がすべて「第6種事業」に該当するわけではありません。

不動産販売業

不動産を販売する場合、土地の売上は非課税ですので、建物の売上の事業区分を判定する必要があります。

他の者から購入した建物をそのまま販売する場合

建物という「商品」を仕入れて販売することになりますので、販売先によって事業区分が異なります。

  • 販売先が事業者の場合 … 第1種事業(卸売業)
  • 販売先が消費者の場合 … 第2種事業(小売業)

自ら建築施工した建物を販売する場合

自ら建築施工した建物を販売する場合には第3種事業(建設業)に該当します。

なお、自らは施主となって請負契約により他の建築業者に施工させて販売する場合や、購入した中古建物をリフォームして販売する場合も同様に第3種事業となります。

不動産仲介業

不動産の売買や賃貸を仲介する取引については第6種事業(不動産業)に該当します。

不動産管理業

他の者の不動産を管理する取引については第6種事業(不動産業)に該当します。

不動産賃貸業

不動産を賃貸する取引については第6種事業(不動産業)に該当します。

ただし、純粋な土地の賃貸や居住用建物の賃貸については非課税となっています。

なお、賃貸建物など自ら事業に使用していた固定資産を売却した場合には第4種事業(その他事業)に該当するため注意が必要です。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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