譲渡所得と国民健康保険料との関係・その①。不動産を売却した場合

ポイント:不動産を売却して利益が出た場合、翌年の国民健康保険料がアップする。特別控除を適用する場合には「特別控除後」の譲渡所得をベースに保険料が計算される。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

自営業者が加入する「国民健康保険」の保険料や75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療保険」の保険料は、主に前年度の所得をベースに計算されます。

したがって、もし不動産や株式を売却して一時的に所得が増加した場合、翌年だけ国民健康保険料又は後期高齢者医療保険料(以下「国民健康保険料等」といいます)が跳ね上がる可能性があります。

譲渡所得が生じた場合の国民健康保険料等への影響について、「不動産」を売却したケースと「株式」を売却したケースに分けてそれぞれ解説します。

まず今回は「不動産」を売却した場合のお話です。

国民健康保険料等の計算方法

国民健康保険料等の計算方法は各自治体により微妙に異なりますが、おおむねどの自治体も以下の要素を組み合わせて計算します。

・国民健康保険料 … 所得割、均等割、資産割、平等割

・後期高齢者医療保険料 … 所得割、均等割

このうち、前年の所得をベースに計算するのが「所得割」です。

所得割額は、

( 総所得金額等 - 33万円 )× 保険料率

で計算します。

不動産を売却して利益が出ると「所得割」が増える

「総所得金額等」とは、簡単にいえば前年度の所得金額の合計額ですが、ここには不動産を売却した場合の譲渡所得も含まれることになります。

たとえば、以下の条件で不動産を売却したとします。

  • 売却価格:2,000万円
  • 取得費:不明(概算で2,000万円×5%=100万円)
  • 仲介手数料:60万円

この場合の売却益(譲渡所得)は

「 2,000万円 - 100万円 - 60万円 = 1,840万円

となり、この1,840万円を「総所得金額等」に含めて所得割額を計算しますので、保険料への影響は非常に大きなものとなります。

ただし、計算した所得割額が仮に数百万円になったとしても、国民健康保険料等には年間の限度額が定められています(50~90万円程度)のでご安心ください。

特別控除額がある場合には特別控除後の譲渡所得で計算

不動産の譲渡所得の計算上、自宅を売却した場合や収用された場合などは特別控除が適用され、所得税・住民税が安くなる可能性があります。

もし特別控除が適用される場合、国民健康保険料等の所得割額の計算上「総所得金額等」に含まれる譲渡所得は『特別控除後』の金額となります。

たとえば、上記の例で売却した不動産が自宅だった場合、居住用財産を譲渡した場合の特別控除(最大3,000万円)を受けられるため、特別控除後の譲渡所得は「0円」となり、国民健康保険料等の所得割額には影響しないことになります。

まとめ

不動産を売却する場合、かかるであろう所得税・住民税については準備しているものの、国民健康保険料等への影響までは想定していないケースもあります。

サラリーマンで勤務先の健康保険に入っている場合などは気にする必要ありませんが、自営業者や後期高齢者の場合には税金だけでなく医療保険料にも注意しましょう。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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