信用保証料は相続財産になる?保証付き融資がある場合の相続税申告

ポイント:一括払いの信用保証料で、もし保証期間中に繰上返済を行った場合に未経過分の保証料が返戻される場合には、相続開始時点での返戻金相当額が相続財産となる。


こんにちは。税理士の関田です。

被相続人が事業用資金を銀行から借りていた場合、相続税の申告上、借入金残高を債務として控除し忘れる人はいないでしょう。

ただし、その借入にあたり信用保証協会の保証を受けている場合に、未経過分の信用保証料を財産計上すべきケースがあることは意外と知られていません。

信用保証料とは?

事業用資金の融資には「プロパー融資」と「保証付融資」という2つの形態が存在します。

「プロパー融資」とは、借主に対する信用をもとに金融機関が自ら貸し倒れリスクを負って行う融資のことです。

一方、「保証付融資」では、万が一借主の返済が滞った場合でも信用保証協会が代わりに金融機関へ弁済(代位弁済)を行うため、金融機関には貸し倒れリスクが発生しない融資となっています(借主には信用保証協会への弁済義務が残ります)。

融資実績の乏しい中小企業や個人事業主の場合は「保証付融資」になるのが一般的ですが、その際に信用保証協会へ保証の対価として支払うのが信用保証料です。

信用保証料は通常、融資実行時に一括で支払うことになります(分割払いが認められるケースもあり)。

信用保証料が相続財産になるケース

信用保証料を一括で支払ったケースで、もし返済期間中(保証期間中)に借主が死亡した場合、相続税申告上はどのように取り扱われるのでしょうか?

繰上返済時に信用保証料が返還される場合

一括払いの信用保証料について、保証期間中に繰上返済を行った際に未経過分の保証料が返還される場合には、財産性があると考えられるため相続税の課税対象となります(実際に繰上返済を行うかどうかに関わらず、です)。

繰上返済時に信用保証料が返還されない場合

一方、保証期間中に繰上返済を行っても未経過分の信用保証料が返還されない場合には、財産性がないため相続財産とはなりません

信用保証料の相続税評価額

相続財産性のある信用保証料の相続税評価額は、仮に相続開始時点で借入金の全額繰上返済を行ったとした場合の返戻金相当額となります。

実務上は、信用保証協会にお願いして、相続開始時点の解約返戻金相当額の計算書を出してもらうと良いでしょう。

まとめ

信用保証料は相続税申告実務において盲点になりがちです。

もし被相続人が借入を行っていたら、帳簿に信用保証料が「前払費用」として載っている場合はもちろん、帳簿に載っていない場合でも借入時の資料を確認することが必要となります。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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