小規模宅地等の特例を受けられる貸駐車場とは。砂利敷きでも大丈夫?

ポイント:貸駐車場が貸付事業用宅地等に該当するかどうかは、土地の上に「構築物」があるか否かで判断する。砂利敷きの駐車場の場合には砂利が少なくならないよう注意。


こんにちは。税理士の関田です。

相続税の計算上、貸付事業に使用している土地については、貸付事業用宅地等として200㎡部分まで50%の評価減を受けることができます(小規模宅地等の評価減の特例)。

アパートやマンションだけでなく、駐車場として貸している土地についても対象となりますが、どんな駐車場でもOKというわけではありません。

小規模宅地等の評価減の対象となる貸駐車場について解説します。

貸付事業用宅地等とは

定義

小規模宅地等の評価減の特例における「貸付事業用宅地等」とは、被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等のうち、相続した親族が相続税の申告期限まで保有し、かつ貸付事業を継続しているものをいいます。

事業規模は問わない

ここでいう貸付事業とは「不動産貸付業」、「駐車場業」、「自転車駐車場業」及び事業と称するに至らない不動産の貸付け等で相当の対価を得て継続的に行われる「準事業」のことをいいます。

したがって、所得税上のいわゆる『事業的規模』に該当しない程度の貸付であっても、小規模宅地等の特例の対象になります。

建物又は構築物の敷地となっていることが条件

ただし、小規模宅地等の評価減の対象となる宅地等については「建物又は構築物の敷地の用に供されているもの」という条件がありますので、単に更地を貸しているだけでは対象とはなりません。

貸駐車場の場合、ここがポイントになります。

対象となる駐車場・ならない駐車場

アスファルト・コンクリート敷の駐車場

アスファルト舗装やコンクリート舗装は「構築物」と認められますので、問題なく貸付事業用宅地等に該当します。

砂利敷の駐車場

砂利敷きの駐車場は判断が分かれるところです。

  • 砂利が駐車場全体に敷き詰められ、
  • ロープや車止めにより1台ごとの駐車スペースが区分されている

ような場合には「構築物」の敷地の用に供されていると考えられ、貸付事業用宅地等に該当する可能性が高いです。

一方、砂利を敷設してから相当期間経過し、埋没して土が露出しているような状況であれば該当しない可能性が高いでしょう。

設備のない青空駐車場

アスファルトや砂利を敷いておらず単にロープなどで区切っただけの青空駐車場の場合、「構築物」の敷地の用に供されているとはいえず、貸付事業用宅地等には該当しません

他人が敷いたアスファルトでもOK?

構築物の所有者は問わない

「構築物」の敷地の用に供されているというのが貸駐車場で小規模宅地等の評価減の特例を受けるための要件ですが、必ずしも「土地所有者=構築物所有者」である必要はありません

土地所有者以外の第三者がアスファルト等を敷設した場合でも、特例の対象となります。

コインパーキング業者に土地のみを貸した場合も対象に

たとえば、地主が更地をコインパーキング業者へ賃貸し、業者がアスファルトや機械を設置してコインパーキング事業を行うケースがよく見られますが、この場合も貸付事業用宅地等に該当します。

あくまで、土地の上に「構築物」があるかどうかが重要なのです。

まとめ

砂利敷きの駐車場の場合は、特例の対象になるかどうか微妙な判断になるケースが多いです。

あくまで相続開始時点での現況により判断することになりますので、特に相続が近いような場合には、砂利が少なくなってきたら追加で入れるなど、定期的なメンテナンスが重要になります。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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