駐車場収入は誰のもの?土地の所有者と貸主が異なる場合の所得の帰属

ポイント:月極駐車場の収入は原則として土地の所有者に帰属する。ただし、立体駐車場のような堅固な構築物等を設置している場合には構築物等の所有者の収入となる。


こんにちは、川越市の税理士・関田です。

不動産を賃貸する場合、基本的には不動産の所有者が貸主となって賃貸借契約を締結し、賃貸収入も不動産の所有者の所得として申告します。

たとえば夫が所有するアパートを妻名義で賃貸し、家賃収入を妻の不動産所得として申告することは認められません。

しかし、夫が所有する土地の上に妻がアパートを建築して妻名義で賃貸する分には、家賃収入は妻の不動産所得となります。

それでは、夫が所有する土地を利用して妻が駐車場経営を行ったとしたらどうでしょう?

不動産所得は実質的な所有者に課税される

所得税上、資産又は事業から生ずる収益の法律上の帰属者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、名義人以外の者がその収益を享受する場合には、その収益はこれを享受する者に帰属するものとされています(所得税法12条)。

そして、資産から生ずる利益を享受する者がだれであるかは、その収益の起因となる資産の真実の権利者がだれであるかにより判定すべきものとされています(所得税基本通達12-1)。

つまり、上記の例でいえば、

① 夫所有のアパートを妻名義で賃貸

→ 妻は単なる名義人のため、収益はアパートの所有者である夫の不動産所得として申告

② 夫所有の土地に妻がアパートを建築し妻名義で賃貸(土地は夫から無償で賃借)

→ 収益はアパート(建物)の所有者である妻の不動産所得として申告

というのが正しい申告方法となります。

土地の所有者以外の者が駐車場経営を行った場合の収益の帰属

では、夫が所有する土地を利用して妻名義で駐車場の賃貸を行った場合はどうでしょう。

青空駐車場の場合

単に区画を分けただけ、あるいは簡易的なアスファルト舗装をしたりフェンスを設置したりしただけの月極駐車場(いわゆる「青空駐車場」)については、その収益は土地の所有者に帰属します。

収益の起因となる資産は「アスファルト」等ではなくあくまで「土地」と考えるためです。

したがって、夫所有の土地に妻がアスファルト等を設置し妻名義で賃貸を行っていたとしても、夫の不動産所得として申告しなければなりません。

立体駐車場の場合

タワー式や自走式の駐車場など、建物や堅固な構築物を設置した駐車場(いわゆる「立体駐車場」)については、その収益は建物・構築物の所有者に帰属します。

したがって、夫所有の土地に妻が立体駐車場を設置し妻名義で賃貸を行っている場合には、妻の不動産所得として申告します。

駐車場業と認められる場合

有料駐車場から生ずる所得については、自己の責任において他人の物を保管する場合には、不動産所得ではなく事業所得又は雑所得に該当するものとされています(所得税基本通達27-2)。

つまり、土地の上に設置したのがアスファルトであれ立体駐車場であれ、

  • 管理人を常駐させている
  • 客から駐車時間に応じた駐車料金を徴収している

など、単なる駐車スペースの賃貸だけでなくサービスを提供しているような場合には、その収益は事業を営んでいる者に帰属するものと考えます。

したがって、夫所有の土地に妻がアスファルト等を設置し「駐車場業」という事業を営んでいる場合には、妻の事業所得として申告します。

まとめ

本来の所得の帰属者以外の人が収入を受け取っている場合には、所得税の申告が間違っているだけでなく、贈与税が課税される恐れもあります。

所得税の節税になるからといって、安易に税率の低い妻や子どもの所得として申告することは大変危険です。


※ この記事は、投稿日現在における情報・法令等に基づいて作成しております。

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